研究課題/領域番号 |
24593012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
北野 尚孝 日本大学, 医学部, 専修指導医 (50424726)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌 / 遺伝子治療 / ゲノム |
研究概要 |
がん細胞(口腔扁平上皮癌細胞:SCCKN)をヌードマウスの背部皮下に注射しマウスに移植腫瘍を作成した。Del1のcDNAから、アポトーシス誘導作用を有する第三EGFドメインと細胞外基質への沈着作用を有する第一discoidinドメインをコードする配列をPCRで増幅し、これをpcDNA3.1D/V5-His-TOPOに組み込み、pE3C1を作製した。移植腫瘍に対してpE3C1を用いて遺伝子治療を行った。コントロールとしてpcDNA3.1Dを同様に遺伝子導入した。投与方法は、腫瘍に直接局所注射を7日に1回の割合で行った。その後、経時的に腫瘍の大きさを測定し、マウスの状態を観察した。 観察により、コントロール群は治療開始後も腫瘍サイズが増大し42日目より死亡し始めた。そして、治療開始後59日目に生存率は0%となった。一方、pE3C1での治療群は、治療開始後66日目で1匹死亡したが、治療開始189日後の生存率は20%であった。189日後に生存していた個体はいずれも腫瘍が消失していた。また、pE3C1での治療にも関わらず死亡したマウスの腫瘍の増大速度は抑制されていた。これらの結果により、ヌードマウスの移植腫瘍に対しpE3C1を投与することにより腫瘍を根治できる可能性が考えられた。また、根治できずも腫瘍の増大速度を抑制することにより延命効果があることが確認された。今後は、腫瘍のサイズ変化がどのような作用によるものかを検討し、pE3C1の投与による影響を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究実施計画では「平成22年度より行ったin vivoにおけるマウス移植腫瘍に対するE3D1およびFasL:E3D1遺伝子を用いた研究で、7日に1回、 腫瘍の大きさに因らず10μg/100μlの濃度の遺伝子溶液を腫瘍に注射することにより良好な治療効果を得た。その結果を踏まえ本研究では、治療に最適な腫瘍体積あたりのDNA量を決定する。またE3C1単独治療とFasL/E3C1による治療の優劣を決める。」としていたが、腫瘍体積によりDNA量を増大することが困難であったため、前回同様にDNA量は10μg/100μlの濃度の遺伝子溶液を腫瘍に注射することとした。さらにFasLを使用せずにE3C1単独治療で根治できる可能性や延命効果があることが判明し、頭頚部扁平上皮癌に対する遺伝子治療のプロトコールを確立するにあたり有効な結果が得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
E3C1遺伝子単独の治療にて根治または腫瘍増大の抑制による延命効果が認められたことにより、今後はE3C1遺伝子がどのように腫瘍やマウスに作用しているのかを検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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