研究課題
基盤研究(C)
これまでに受け付けた電話の悩み相談ファイルをもとに、出生以前診断についての悩みの相談内容、出生直後の母親の心理的ケアのポイント、初回手術前後の心理に対する対応、2~5歳の患児をもつ母親の心理変化について調査するとともに、この時期の患児の本症への認識の実態、学童期の患児に本症が与える影響について母親を通じて調査を行い、いじめの実態、思春期を迎えた患者本人の認識について分析を行った。相談内容の上位3位は、父親は病院紹介、手術方法、セカンドオピニオン、母親は、手術方法、病院紹介、セカンドオピニオン、本人は、遺伝、手術方法、醜形恐怖という順位結果が示された。この結果をもとに対応マニュアル作成のための調査用紙の作成を準備中である。第19回 velo-cardio-facial syndrome educational foundation国際学術大会(カナダ・バンクーバー)において、Velo-Cardio-Facial症候群(VCFS)の患者の合併症状ならびに言語症状を調査し、本邦におけるVCFS患者のデーターベース作成の基礎資料となる調査結果を報告した。第52回日本先天異常学会学術集会において、愛知学院大学言語治療部門におけるVelo-Cardio-Facial症候群患者の言語治療に関する報告を行うとともに、日本の先天異常研究者ならびにVCFS臨床研究を行っている大学講座と学術交流を行った。アジア口腔顎顔面外科学会第10回国際会議(インドネシア・バリ)において、愛知学院大学歯学部附属病院を受診するVCFS患者の調査結果を報告するとともに学術交流を諸外国の研究者と行った。
4: 遅れている
研究目的の到達度が遅れたのは、研究推進の原資となる出生前診断に関する実態調査、染色体検査によるVCFSの確定診断に関する実態調査は予備調査の段階にあり、本調査を実施するための調査項目等の確定ができなかった。そのことによる実態調査を実施できなかったことが大きな一因である。
前年度実施に至らなかった出生前診断に関する実態調査、染色体検査によるVCFSの確定診断に関する実態調査についての調査用紙は間もなく完成することから実施に向けての準備を始めている。調査を実施して資料を回収することができれば研究の推進速度は速くなると考えている。調査は産婦人科に対して出生前診断の実態を明らかにするための調査、出生前告知を受けた母親のうちインフォームド・コンセントを行い、同意の得られた方を対象にその実態とその後の印象、また医療者にどのような告知やその後の対応をしてほしかったかなどについて意見等についてであり、結果を分析することにより実態を明らかにし、対応マニュアルを作成する。また、継続して悩みの相談電話を行い、情報を収集する一方で、Semantic Differential法を用いて、新たな臨床応用に向けて言語障害者の評価を行い、より良い評価システムを確立させるための基礎データの収集を行う。また、一般人のみならず、言語治療の専門家である言語聴覚士にも印象・評価の調査を行い、臨床場面と患者の日常生活場面とで、言葉の治療の必要性ならびに相違がないかも加えて調査する。また、言語障害の診断を下す言語聴覚士の中でも、発話の誤りに対する見解について各々で相違がないかも同時に調査する。一般人の印象・評価の分析結果を受け「口蓋裂言語」といわれるものでも、どの程度の誤りの出現から異常が考えられるのかを調査し、言語治療マニュアルを作成する。
調査用紙の作成に戸惑ったために調査が実施できずに次年度使用額420,784円が生じた。そこで25年度は、予定交付額1,300,000円を加えて使用計画は次のように予定する。物品費0円、旅費550,000円、人件費・謝金430,000円、その他740,000円、合計1,720,000円。
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