研究課題
我々は、本研究においてアラキドン酸カスケードを構成し、生理活性の上で重要な分子であるCOX-2ならびにその下流で制御されており、最近発がん、がんの悪性度に関与していることがわかっているPGE2の発現について解析を行った。我々が分離・培養した正常血管内皮細胞 (NEC: Normal Endothelial cell)に比べ、腫瘍血管内皮 (TEC:Tumor Endothelial cell)において、アラキドン酸カスケードの代謝産物のシクロオキシゲナーゼ(COX-2)の発現が高く、COX-2が腫瘍血管内皮の生存に重要な役割を果たしていることを示した。また、ELIZA法でCOX-2の代謝産物である、PGE2とPGI2が腫瘍血管内皮細胞で発現が高いことがわかった。また、ヒト検体を用いて、咽頭癌4症例、悪性黒色腫2症例、正常の皮膚の2症例においてCOX-2の免疫組織染色に行った。咽頭癌、悪性黒色腫のいくつかの腫瘍血管でCOX-2が強発現していることがわかった。またCOX-2の阻害剤の一種であるNS-398をヌードマウスの腫瘍皮下移植モデル(口腔癌、悪性メラノーマ)を用いると、血管新生を阻害して抗腫瘍効果を示すことがわかった。さらに、がん細胞ではCOX-2によって誘導されるPGI2(プロスタサイクリン)によって多段階の発がんに必要な血管形成が誘導されることから、PGI2/IP receptorシステムも同様に腫瘍血管新生に関与する可能性があるのではないかと考え,PGI2とIP receptorの系について解析を進めた。我々が分離・培養した高転移性のメラノーマと腎がん由来の腫瘍血管内皮細胞では、real time PCRにおいて、PGI2とIPreceptorの発現が高いことがわかった。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Cancer science
巻: 105(5) ページ: 560-567
10.1111/cas.12394.