研究概要 |
【研究目的】 3種類の扁平上皮癌株:①Hela細胞株, ②肺転移由来株RCB0444, ③シスプラチン耐性株RCB1152を培養し、70%コンフルエントに増殖した時点でmTOR阻害剤のRAD001, Torin 1を培地内に添加し、両薬剤の癌細胞に対する抗腫瘍効果を比較・検討することである。 【実験結果】 #1 各阻害剤の50%細胞抑制濃度(50IC)測定: 昨年度でHela細胞に対する2剤の50%細胞抑制濃度(50IC)のRAD001とTorin1を測定したが、同様の手法にて肺転移由来細胞のRCB0444とシスプラチン耐性株のRCB1152双方の50IC濃度を測定した。結果は肺転移由来細胞株RCB0444でRAD001が30nM、Torin1で2μMであった。一方シスプラチン耐性株RCB1152ではRAD001が90nMであったのに対し、Torin1では500nMと増殖抑制効果を示した。 #2 PI3K/Aktキナーゼ活性に対する2剤の抑制効果の検討: 3種類の癌細胞株を70%コンフルエントまで増殖させた後、50ICの濃度に調整したRAD001とTorin 1を培地に添加し、RAD001とTorin1のPI3K/Aktキナーゼ活性抑制効果を調べた。結果はシスプラチン耐性株でTorin1のキナーゼ活性抑制効果がRAD001の2倍認められた。他の2株はRAD001, Torin1双方でキナーゼ活性抑制効果を認め、両者に統計的有意差は認めなかった。
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