マウス扁平上皮癌モデルにおいて、マグネタイトカチオニックリポソーム(MCLs)と樹上細胞を用いた温熱療法の有効性を確認した。まず、マウス背部腫瘍移植モデルに対してMCLsと樹状細胞を用いて抗腫瘍効果を検討した。マイルドハイパーサーミアを併用することにより腫瘍細胞内のHSPの上昇、樹上細胞の抗原提示能の上昇を認めた。in vivoイメージングを用いて背部腫瘍移植モデルにおいて注入した樹状細胞が所属リンパ節へ移動していることを確認した。in vitroにおいて腫瘍細胞に41℃、43℃、45℃の温熱を加えHSPの発現量を検討した。HSPの発現は43℃、30分の温熱ストレスにて最大となり温熱ストレスを1回与える場合、41℃、43℃、45℃と高温になるに従いHSPの発現するまでの時間が延長した。HSPが発現している段階での追加温熱ストレスは、HSPの発現を抑制した。樹上細胞を43℃、30分の温熱ストレスによりHSPを高発現させたSCCⅦ細胞と共培養し、さらに共培養下で41℃、30分の温熱ストレスを加えたところ48時間でLPS刺激と同等の樹上細胞の成熟化が得られた。また、43℃30分加温24時間後に48℃30分加温した腫瘍細胞と今日培養したものは樹上細胞の成熟化が見られなかった。 遠隔転移モデル(肺転移モデル)の作成を行い転移モデルに対する温熱免疫療法の効果の検討をおこなった。マウスの尾静脈よりSCCⅦ細胞株を注入し早期肺転移モデルを作成した。早期肺転移マウスの背部皮下にSCCⅦ細胞を移植し腫瘍経が7mmになったところでMCLsと樹上細胞を用いて抗腫瘍効果を検討した。コントロール軍と比較し温熱免疫療法を行った群では肺腫瘍の数が減少し、生存率も優位に延長した。 原発巣をMCLsと樹上細動を用いた免疫温熱療法を行うことにより早期の肺転移に関して効果があると考えられた。
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