研究課題/領域番号 |
24593028
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
古森 孝英 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50251294)
|
研究分担者 |
鈴木 泰明 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10397812)
竹内 純一郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (30533757)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 口腔がん / メタボロミクス / スクリーニング |
研究概要 |
日本社会の高齢化に伴い、がんによる死亡は増加の一途を辿っている。、中でも口腔がんは咀嚼、嚥下、構音、審美性など機能的・形態的側面に多大な影響を与え、患者自身のQOLを著しく低下させる。口腔がんは比較的視診が容易であるが、誤認され放置されることや、健康診断において対象になることが少ないため、早期発見が遅れることがある。そこで、質量分析計を用いた新たな口腔がん早期スクリーニング方法を確立をめざす。質量分析計は、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC/MS)を使用することとした。四重極型のGC/MSは、ダイナミックレンジが大きく、血中に存在する代謝物のように含有物にばらつきがあるサンプルを解析することにも最適である。 口腔がんバイオマーカー探索のため、まず最初に口腔がん、他臓器がん細胞株を用いたメタボローム解析を行った。ヌードマウスにヒト口腔がん、膵がん、胃がん、肝がん、大腸がん由来細胞株を移植することで担がんモデルマウスを作製し、その血漿を収集した。具体的には、ヌードマウスに口腔がん、他臓器がん由来細胞株を皮内注射し定着させ、移植開始一週間ごとに尾静脈より血漿を回収した。得られたサンプルより水溶性代物質を抽出し、GC/MSで測定を行った。およそ100種類の水溶性代謝物の中から、がん移植により変動する代謝物を同定し、さらに口腔がんに特異的に変動する代謝物をしぼりこむことができた。今後はヒト血清サンプルを用いたメタボローム解析を計画しており、ヌードマウスの分析結果は、ヒト血清サンプル分析との比較に用いることができ、口腔がんバイオマーカー候補物質の推定にも役立つものと考えられる。 現在、健常人、口腔がん患者などの血清サンプルを収集している途中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヌードマウスの担癌モデル作製とそのメタボローム解析を順調に行うことができた。また、口腔がん患者の血清を用いたメタボローム解析のためのサンプル収集も計画通りに進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
口腔がん患者と健常人の血清をメタボローム解析し、変動する揮発性代謝物を同定することで、口腔がんバイオマーカーを探索する。また、担がんモデルのヌードマウスから得られた結果と、ヒトサンプルで得られた結果を照らし合わせて検討することを計画している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ヒト血清のメタボローム解析を多くのサンプルで行っていくため、ガスクロマトグラフィー質量分析計で用いる消耗品にお金を要する。 また、研究の現状を今秋開催の日本口腔外科学会総会とスペインで開催される国際学会International conference on oral and maxillofacial surgeryで報告予定である。
|