研究課題/領域番号 |
24593028
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
古森 孝英 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50251294)
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研究分担者 |
鈴木 泰明 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10397812)
竹内 純一郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30533757)
木本 明 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (30597167)
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キーワード | 口腔がん / メタボローム / スクリーニング |
研究概要 |
日本社会の高齢化に伴い、がんによる死亡は増加の一途を辿っている。中でも口腔がんは咀嚼、嚥下、構音、審美性など機能的・形態的側面に多大な影響を与え、患者自身のQOLを著しく低下させる。口腔がんは、比較的視診が容易であるが、口内炎などの症状と誤認され放置されることや、健康診断において対象になることが少ないため、早期発見が遅れることがある。今回、質量分析計を用いた新たな口腔がん早期スクリーニング法の確立をめざす。質量分析計は、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC/MS)を使用することとした。四重極型のGC/MSは、ダイナミックレンジが大きく、血中に存在する代謝物のように含有物にばらつきがあるサンプルを解析することにも最適である。 昨年度、口腔がん、他臓器がん由来細胞をヌードマウスに移植し、その血漿をメタボローム解析し、変動する代謝物を解析した。今年度は、それらを元にして、口腔がん患者から実際の病変部位、あるいは、非病変部位組織を提供して頂き、ヒト検体を用いたメタボローム解析を行った。 さらには、口腔がん患者と健常人の血清をメタボローム解析し、その結果を多変量解析することで、感度の高い口腔がんバイオマーカー候補物質を数種類導き出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔がん、他臓器がん細胞株によるメタボローム解析により、およそ100種類の水溶性代謝物を同定することができた。さらには、口腔がん患者と健常人の血清をメタボローム解析し、そのおよそ100種類の水溶性代謝物から、有意に変動する口腔がんバイオマーカー候補物質を絞り込むことができた。 また、現在までの結果を、雑誌Head&Neck Oncology、日本口腔外科学会総会、スペインで開催されたICOMS(International conference on oral and maxilofacial surgery)に発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
口腔がん患者と健常人の血清サンプルの収集をさらに進め、がん患者と健常人の比較に加え、がん患者の術前術後や再発症例の検討など様々な状況におけるメタボローム解析を実施する予定である。これにより、口腔がんバイオマーカー候補物質の検証実験が可能になり、さらには、口腔がんの再発や頸部リンパ節転移を早期に予見できることをめざす。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文投稿を行ったが、掲載費用が無料であったこと。また、口腔がん患者、健常人の血清サンプルのメタボローム解析を行ったが、当初予定していたよりサンプル数が少なかったため、高額な専用カラムの交換回数が少なく繰越金が生じた。 口腔がん患者と健常人の血清サンプルを現在も収集しており、26年度には当初の最終予定数のサンプルのメタボローム解析を行う予定である。
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