研究課題
日本社会の高齢化に伴い、がんによる死亡は増加の一途を辿っており、昨今では日本人死因の約3分の1を占めている。中でも口腔がんは咀嚼、嚥下、構音、審美性など機能的・形態的側面に多大な影響を与え、患者自身のQOLを著しく低下させる。口腔がんは、比較的視診が容易であるが、口内炎などの症状と誤認され放置されることや、健康診断において対象になることが少ないため、早期発見が遅れることがある。そのため、口腔がんの早期発見を簡便に実施する方法が求められている。本研究では、メタボローム解析により、担がんマウスや口腔がん患者の血液・組織中の代謝産物を網羅的・包括的に解析した。これにより、口腔がんにおいて有意に変動している代謝産物を同定し、口腔がんの新規バイオマーカー候補物質の探索を行った。昨年度までに、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて、口腔がん担がんマウスや口腔がん患者の血液・組織のメタボローム解析を行った。これにより、約100種類の水溶性代謝産物の同定が可能になり、その結果を多変量解析をすることで、口腔がんで有意に変動する数種類のバイオマーカー候補物質を導き出すことができた。今年度においては、これらの結果に基づいた検証実験を行った。検証実験を行う際は、サンプル採取時間を全て朝食前にすることや、採取から保存までの時間を一定にすることなどの条件を厳密に決定し、バイアスが生じにくいようにして行った。また、手術前の血液サンプルだけでなく、口腔がん術後、術後治療後、再発前後、口腔がん以外の口腔疾患など、様々な病態、状況下での比較分析を行った。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
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