研究課題
唾液腺癌は放射線や抗癌剤に対する感受性が低く、しばしば局所再発や遠隔転移し、一般に予後は不良とされている。そのため新規治療法の開発が待たれている。一方、バルプロ酸は、てんかんや躁うつ病などの治療薬として広く用いられている薬物であるが、最近、ヒストン脱アセチル化酵素(histon deacetylase; HDAC)の阻害薬として機能することが報告され、乳癌や前立腺癌に対する抗腫瘍効果が報告されている。その背景として、最近、塩基配列の変異を伴わないエピジェネティックな変化が癌の発生や進展に重要な役割を果たすことが次第に明らかとなってきたことが挙げられる。そこで、本研究では、唾液腺癌に対してもバルプロ酸を含めた種々のHDAC阻害薬やDNAメチル化阻害薬が抗腫瘍効果を示すのではないかと考え、エピジェネティック機構をターゲットとした唾液腺癌に対する新規治療の可能性について検討した。唾液腺癌細胞株の細胞増殖に対するHDAC阻害薬の影響、唾液腺癌細胞株の細胞周期に対するHDAC阻害薬の影響を検討したところ、HDAC阻害剤の濃度依存的に細胞増殖は抑制され、G1arrestを認めた。また、ヌードマウスに移植した唾液腺癌細胞株の腫瘍増殖に対するHDAC阻害薬の影響をけんとうしたところ、HDAC阻害剤投与群において、腫瘍増殖は抑制された。
すべて 2014
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Oncol Rep.
巻: 31 ページ: 1453-1458
10.3892