研究課題/領域番号 |
24593036
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
玉谷 哲也 徳島大学, 大学病院, 講師 (30274236)
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研究分担者 |
宮本 洋二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20200214)
永井 宏和 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50282190)
内田 大亮 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335798)
大江 剛 徳島大学, 大学病院, 助教 (60432762)
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キーワード | 口腔癌 |
研究概要 |
癌化学放射線療法の問題点は、癌細胞の抵抗性の獲得である。最近、その主要な原因は細胞内のDNA修復経路の1本鎖修復に関わるポリ(ADP-リボース)合成酵素(PARP)の活性化と考えられ、実際、乳癌では分子標的となることが示されている。口腔癌でPARPが活性化し、その発現は抗癌剤や放射線でさらに増強されること、口腔癌においてPARPが抗癌剤や放射線に対する抵抗性に関わる重要な分子であることを明らかにしている。そこで、PARP阻害剤の口腔癌に対する抗腫瘍効果及び抗癌剤や放射線とPARP阻害剤を組み合わせた併 用療法について検討する。また、PARPの発現、活性を制御する遺伝子とmiRNAを明らかにし、PARP阻害剤を用いた治療法の効果予測に対するバイオマーカーを検索する。すなわち、本研究の目的はPARPを分子標的とした複合的な口腔癌の新規治療法を確立するための基礎的研究を行うことである。 当教室において樹立した培養ヒト口腔扁平上皮癌細胞であるBHY、B88、HNt細胞とHSC、SAS、CAL27細胞を用いて、口腔癌細胞と正常口腔上皮細胞を用いてPARPの発現を検討すると、PARPの発現は口腔癌細胞で増強していた。また、PARP阻害剤で口腔癌細胞を処理する と、増殖は抑制された。さらに、放射線照射、抗癌剤併用との併用効果について検討を行った結果、口腔癌細胞の増殖抑制効果は促進された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
条件設定、予備実験に時間がかかっているため、全体的に実験の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験を行う予定である。 ヌードマウスに移植した腫瘍増殖に対するPARP阻害剤と抗癌剤あるいは放射線照射との併用効果の検討する。造腫瘍性口腔癌細胞株をヌードマウスの背部皮下或いは咬筋内或いは舌に移植し、腫瘍径が約5mmになった時点から、以下の実験群に分けて処置を行う。I 群(未投与)、II群(PARP阻害剤、2回/週、iv)、III群(5-FU, CDDPあるいはTXT、2回/週、iv)、IV群 (PARP阻害剤と抗癌剤、2回/週、iv)、V群(PARP阻害剤、2回/週、iv、放射線照射1.5 Gy/日、3回/週)、VI群(抗癌剤、2回/週、iv、放射線照射1.5 Gy/日、3回/週)、VII群(PARP阻害剤と抗癌剤、2回/週、iv、放射線照射1.5 Gy/日、3回/週)を4週間行う。経時的な腫瘍体積の測定、リンパ節、肺転移の有無、生存期間、Tunel法による腫瘍組織のアポトーシスの誘導の測定結果より、PARP阻害剤と組み合わせた抗癌剤あるいは放射線治療に相乗的な治療効果が得られたか判定する。 ③PARP阻害剤に対して高感受性と低感受性を示す細胞を用いた遺伝子とmiRNA発現の解析を行う。PARP阻害剤に対する反応が異なる細胞群を用いて遺伝子発現用マイクロアレイ解析とmiRNAマイクロアレイを用いてmiRNAの解析を行う。得られたデータは内部コントロー ルを用いて標準化し、比較検討する。得られたプロファイリングを用いて、PARP阻害剤に対する感受性の標的遺伝子、miRNAをリスト化し、統計的に有意差のあるものを検出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験の進行が遅れていたため、動物実験にかかわる費用が次年度の使用として生じた。 動物実験を中心に使用していく予定である。
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