研究課題
癌化学放射線療法の問題点は、癌細胞の抵抗性の獲得である。最近、その主要な原因は細胞内のDNA修復経路の1本鎖修復に関わるポリ(ADP-リボース)合成酵素(PARP)の活性化と考えられ、実際、乳癌では分子標的となることが示されている。口腔癌でPARPが活性化し、その発現は抗癌剤や放射線でさらに増強されること、口腔癌においてPARPが抗癌剤や放射線に対する抵抗性に関わる重要な分子であることを明らかにした。そこで、PARP阻害剤の口腔癌に対する抗腫瘍効果及び抗癌剤や放射線とPARP阻害剤を組み合わせた併用療法について検討した。当教室において樹立した培養ヒト口腔扁平上皮癌細胞であるBHY、B88、HNt細胞とHSC、SAS、CAL27細胞と正常口腔上皮細胞を用いてPARPの発現を検討すると、PARPの発現は口腔癌細胞で増強していた。また、PARP阻害剤で口腔癌細胞を処理すると、増殖は抑制された。さらに、放射線照射との併用効果について検討を行うと、放射線照射で誘導されたPARPの発現は抑制された。PARP阻害剤と放射線治療で相加的な増殖抑制効果が認められた。すなわち、PARPを分子標的とした複合的な口腔癌の新規治療法の可能性が示された。
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PLoS One
巻: 9(12) ページ: E115936