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2013 年度 実施状況報告書

アポトーシス、アノイキス抵抗性の解除に着目した転移制御研究

研究課題

研究課題/領域番号 24593037
研究機関愛媛大学

研究代表者

日野 聡史  愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (90359927)

キーワード口腔癌 / 転移 / アポトーシス
研究概要

ヒト舌癌組織から樹立された扁平上皮癌細胞株と、この細胞をマウスへ繰り返し同所性移植することによって転移能を獲得させた細胞株を使用し、転移能を獲得した口腔扁平上皮癌細胞は、同時に、内在性のアポトーシス誘導ligandであるTRAILへの抵抗性を有しており、両者に相関があることを明らかにした。
次に、転移能を持たない細胞と転移能を有する細胞を比較することでTRAIL抵抗性の解除方法を探る手法をとった。種々の癌細胞で蛋白量や活性が上昇し、浸潤や転移など癌の悪性形質に深く関わることが知られるSrcに注目した。口腔扁平上皮癌細胞においても、
転移能を獲得した細胞株にSrcキナーゼの活性化亢進があることを明らかにした。口腔癌においても、Srcの発現および活性化がその悪性形質を支持している可能性が考えられるため、siRNAを用いてSrcの発現を抑制したところ、転移能を有する細胞株のTRAIL抵抗性を
解除することに成功した。
さらに、転移能を持たない細胞と転移能を有する細胞をTRAILで処理した際に、発現亢進(あるいは抑制)に差違のある分子を探索するためにmicro array解析を行った。A20(TNFAIP3)はTRAILに感受性の(転移能を持たない)細胞でのみ発現誘導を受ける分子として同定した。この発現誘導は、蛋白質レベルでも起こっていることを確認した。
Srcの発現を抑制するsiRNAやA20の過剰発現を併用するアポトーシス誘導療法は、口腔癌の原発巣のみならず転移をも克服可能な理想的な治療法として、臨床応用に向けた研究の進行が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

口腔癌のアポトーシス抵抗性に関わる分子としてSrcとA20(TNFAIP3)を同定した。Srcの発現抑制下、あるいは、A20の過剰発現下にアポトーシス誘導刺激であるTRAILを使用して、
口腔癌の転移抑制効果を検討する。
本研究の目的は口腔癌転移の制御であり、現在までの研究によってその標的となりうる分子が同定されていることから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

A20の発現誘導を可能にする化合物を探索する。
また、Srcの発現抑制下、あるいは、A20の過剰発現下にアポトーシス誘導刺激であるTRAILを使用し、マウスxenograftモデルでの転移抑制効果について検討する。

次年度の研究費の使用計画

実験はほぼ予定通りに遂行されている。余剰金は以下の計画に則って次年度に使用する。
マウスの同所性移植モデルを使用する。転移能を有する細胞を、マウスの舌あるいは咬筋内へ移植し、Src siRNA、A20の効果を移植部での増殖様相(原発巣形成に要する時間、増殖能、局所浸潤能)および頸部リンパ節および遠隔臓器への転移様相(部位、個数、転移に要する期間など)をもって検討する。
本研究の遂行に必要な試薬一般、細胞培養試薬・器具、プラスチック器具、動物実験、専門家との議論のための学会出張、論文発表のために研究費を使用する。

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公開日: 2015-05-28  

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