研究概要 |
平成24年度の研究実績を以下に示す。 1)29個の口腔癌組織におけるmiRNAの発現量と7個の口腔正常粘膜組織におけるmiRNAの発現量を網羅的に解析し、全ての症例でデータの得られた177個のmiRNAを比較検討したところ、MiR-31*, miR-31, miR-135b, miR-193a-5p, miR-103, miR-224, miR-93, miR-200c, miR-183, miR203, miR-21, miR-223が口腔正常粘膜組織と比較して、癌組織において4倍以上発現亢進し、MiR-133a, miR-376c, miR-411, miR-30a-3p, miR-489, miR-139-5p, miR-483-5p, miR-30e-3p, miR-409-3p, let-7c, miR-486-5pは発現低下していた。また、転移の認められる口腔癌組織において、転移の認められない口腔組織と比較した際、miR-489, miR-483-5p, and miR-1291が2倍以上発現低下していた。 2)口腔癌組織において発現亢進の認められたmiR-221について、口腔癌細胞株(SAS, SCC-111, CA 9-22, HSC-2,3,4)に対する細胞増殖への影響を検討したところ、miR-221 inhibitorをトランスフェクションすることにより、SAS, SCC-111, CA 9-22, HSC-2, SC-3において細胞増殖の抑制を確認することが出来た。またHacaT細胞株(ヒト皮膚角化細胞株)においては細胞増殖抑制を認めないことが確認できた。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度においては計画していた 口腔扁平上皮癌株(HSC2, HSC3, HSC4, SAS, Ca9-22, SCC111)におけるmiRNAの網羅的解析が終了に至っておらず、また、miRNAの抗がん剤の感受性に対する影響も解析できていない。これらに使用する予定の試薬類にかかる経費が年度内で使用されていないが今後上記の解析途中の研究の実行に伴い研究計画に沿った経費が必要となる予定である。
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