研究実績の概要 |
センチネルリンパ節バイオプシーは臨床的にリンパ節転移陰性の微小転移判定の方法として乳癌や悪性黒色腫などにおいて利用されている。通常この方法では原発腫瘍周囲に放射性医薬品あるいは色素を注入してセンチネルリンパ節を検出している。私たちは先に動物実験でPAMAM修飾のシリカナノ粒子にTc-99m とICG を結合させたプローブを作成し複合イメージングを実現した (EJNMMI Res. 2013 Apr 2 5; 3(1):33.). しかしこれらのイメージング剤はリンパ流の情報とリンパ節の描出をするのみで転移の有無は明らかにできない。本研究の目的はプロテインエンジニアリングによるHER2標的物質Affibodyを使用してリンパ節転移のイメージングを行うことである。Anti-HER2 imaging agent, Affibody にICG-Maleimideを結合させた。近赤外蛍光標識のAffibodyをHER2(+)乳癌細胞SK-BR3とHER2(-)乳癌細胞MDA-MB231に添加して蛍光を観察した。HER2(+)転移リンパ節の病理組織標本で近赤外蛍光標識のAffibodyの結合を確かめた。免疫不全マウス(BALB-c-nu and SHO, )の舌に腫瘍細胞をxenograftしてTc-99mフィチン酸によるリンパシンチグラフィとAffibody近赤外蛍光イメージングを行なった。Affibody プローブを作用させると SK-BR3細胞でMDA-MB231細胞よりも強く近赤外蛍光が認められた。また,HER2(+)病理組織標本で蛍光が認められ、免疫組織化学染色のHER2陽性部位と一致していた。免疫不全マウスの転移モデルでセンチネルリンパ節をTc-99mフィチン酸で描出することができAffibodyを応用することができた。近赤外蛍光標識Affibodyを用いてリンパ節内の転移HER2細胞の蛍光をとらえるアプローチの可能性が確認できた。
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