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2013 年度 実施状況報告書

核磁気共鳴法と電子スピン共鳴法を用いた全身麻酔薬の作用部位に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24593044
研究機関北海道大学

研究代表者

渋谷 真希子  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30399951)

研究分担者 平沖 敏文  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (10125346)
長谷 由理  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20626121)
藤澤 俊明  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30190028)
鈴木 邦明  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40133748)
木村 幸文  北海道大学, 大学病院, 助教 (00292037)
キーワード全身麻酔薬 / 電子スピン共鳴 / 核磁気共鳴 / スピンラベル / リポソーム / 生体モデル膜
研究概要

本研究の目的は、生体モデル膜における脂質あるいはタンパク質と、全身麻酔薬との位置関係や相互作用について検討することにより、全身麻酔薬の細胞膜における作用点や機序を解明することである。そのために、1)生体モデル膜の作成、2)不対電子の情報から得られるESRスペクトルの測定、3)原子核の情報から得られるNMRスペクトルの測定、4)放射活性の測定から得られるイオン輸送の測定、以上の4つの事項を遂行することが必要である。本年度は昨年度に引き続き、1),2)を用い、かつ、昨今日本で新たに導入された揮発性吸入麻酔薬であるデスフルランがリポソーム中のスピンラベル剤5-DSA および16-DSA に及ぼす影響をESRスペクトル測定することから着手した。その結果、脂質単独のESRスペクトルにおいて、デスフルランによる影響は昨年明らかにしたセボフルランやイソフルランにおける影響と同様の結果を示した。すなわち、スペクトル強度は、高濃度をデスフルランを加えたときに増大したものの、いずれの麻酔薬を添加しても膜流動性の指標となるSやτにはほとんど影響しなかった。この結果は、今回の作成条件においてデスフルランも他の麻酔薬と同様にリポソームの表層にとどまっており、ニトロキシドラジカルの存在する脂質の深い疎水部や比較的浅い親水部付近まで影響を及ぼさないことが示された。
次に、上記3)の計画として、タンパク質を含まないリポソームにフッ素を含む麻酔薬としてイソフルランを加え、19F-NMR測定を行って麻酔薬の存在部位を検討した。その結果、イソフルランはCF2H基がリポソームに向いて結合しており、リポソーム上でフリーなイソフルラン分子と化学結合していることを示した。これは、ESRで測定された麻酔薬はリポソームの表層にとどまっている、という結果を支持するものであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

昨年から着手していたCa-ATPaseを用いた実験にて必要な、純粋なCa-ATPaseの抽出法について、いくつか試みたものの、他のタンパクが混入する比率が予想以上に高くなるため、一旦中断し、他の計画を優先させることとなった。次に、昨年から軌道に乗っているESRスペクトル測定による実験を優先的に行うこととしたが、測定に必須であるESR機器、および周辺機器の故障に相次いで見舞われ、修理と整備が終了するまで計画を中断せざるを得なかった。さらに、研究代表者が急病となり、入院・自宅療養期間合わせて約2ヶ月強休職する事態となった。以上のことから、総括すると実験計画は遅れている状態である。

今後の研究の推進方策

NMRを用いた実験系をに関しては、Na,K-ATPaseを含むリポソームにイソフルランを加え、19F-NMR測定を行うことにより、麻酔薬の存在部位がタンパク質の存在において変化するのか検討を行う。それに加え、セボフルランやデスフルランなどの揮発性麻酔薬における分子構造間の差異と生理作用との関係を、同様の手法で検討する。
ESRを用いた実験系に関しては、タンパク質の抽出に固執せず、コレステロールを含んだモデル膜の作成を優先的に行うことを検討する。
また、本年度の後半になり、来年度(平成26年度)研究代表者の所属する教室に新しい実験室スペースが確保できることとなった。しかし、研究設備が皆無であることから、来年度の研究費と合わせ、研究環境を整備する予定とする。

次年度の研究費の使用計画

実験に必須であるESR機器、および周辺機器の故障に相次いで見舞われ、修理と整備が終了するまで計画を中断せざるを得なかったため、必要な試薬などの購入も延期せざるを得なかった。さらに、研究代表者が急病となり、入院・自宅療養期間合わせて約2ヶ月強休職する事態となったため、計画的な物品購入に支障が生じた。
未使用額961,962円のうち,186,900円は前年度修理した電子スピン共鳴装置の4月支払分に充て、残りは本年度に購入予定であった試薬の購入や実験結果の発表に使用する他、研究代表者の所属する教室に新しい実験室スペースが確保できることとなったため、来年度の研究費と合わせ、研究環境を整備することとする。

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公開日: 2015-05-28  

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