研究課題/領域番号 |
24593046
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大谷 法理 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (60338879)
|
研究分担者 |
正木 英二 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40221577)
城戸 幹太 東北大学, 大学病院, 助教 (40343032)
水田 健太郎 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40455796)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 術後痛 / ドーパミン / BDNF / 下行性抑制性伝導路 / 鎮痛薬 |
研究実績の概要 |
下行性抑制性伝導路に存在するドーパミン作動性抗侵害神経が脊髄レベルで疼痛制御に大きな役割を果たしている可能性が示唆されている。手術等による神経組織損傷により放出されるBDNF, NGFは1,2次求心神経細胞に作用し、その活動電位発射閾値を変えたり、抑制性神経伝達を修飾しその作用を、抑制性から興奮性に変換し、神経障害性疼痛を引き起こすと考えられている。本研究において、下行性抑制性伝導路の1つであるドーパミン作動性抗侵害神経のシグナルがBDNF等により修飾を受け神経障害性疼痛をもたらすのかを検討した。 ヤクシュらの方法により脊髄カテーテル挿入、1週後、ブレンナンらの方法によりラット後足切開を加え、術後痛モデルラットの作成を作成した。鎮痛効果を、自発痛、機械刺激、赤外線熱刺激試験にて経時的に評価し、また、免疫組織学的にBDNFの産生量, ミクログリア活性化を調べた。 足底切開により脊髄において発現したBDNFはミクログリア活性化抑制剤であるミノサイクリンにより抑制されなかった。さらに、脊髄ミクログリア活性化は、足底切開により術後早期には生じず、したがって、足底切開により生じたBDNF産生の増加は1次求心性神経からによるものであることが強く示唆された。また、D2レセプターの作動薬であるキンピロールは術後痛モデルにおいて、機械刺激、赤外線熱刺激試験おいて抗侵害作用を示した。また、足底切開を加えない健常側では何の効果も示さなかった。さらに、D2遮断薬であるスルピリドも切開側、健常側ともに機械、熱刺激に対する反応に何の影響も与えなかった。 以上より、手術等の神経損傷により1次求心神経から放出されたBDNFはドーパミン性抗侵害神経を修飾している可能性は低く、手術後にみられる疼痛過敏状態の形成に深く関与していないものと思われる。
|