研究課題/領域番号 |
24593050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80372390)
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研究分担者 |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344451)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 顎骨 / 骨膜 / 幹細胞 / 再生医療 |
研究概要 |
アグリゲートコロニーを形成する細胞を評価するため、蛍光標識したヒト由来細胞をFlow cytometerで解析することとした。まず細胞をP1で培養開始し、7日後P2へ継代培養した。この際PKH26による蛍光標識を行って細胞を播種した。蛍光標識しない細胞をcontrol群として同様に培養を行った。評価はDay0、3、6、9、12、15、6つのtimepointとし、100万cells / mlに調整したP2細胞浮遊液をFlow cytometerで解析したところ、day0 では蛍光強度のピークが5 ×104 であったがday15 では5×103 にピークがシフトし、ヒストグラムはダルになった。次に、そのPKH蛍光強度の減弱が、細胞の代謝などによる自然消失ではなく細胞分裂によるものであるかを検証するために、分裂を止めた状態での培養細胞をFlow cytometerで解析することにした。ヒト細胞をP1で培養開始し7日後マイトマイシンCを10 μg/ml 加えた後、PKH26による蛍光標識を行いP2へ継代培養行った。評価はDay0、3、6、9、12、15、6つのtimepointで行い、100万cells / mlに調整したP2細胞浮遊液をFlow cytometerで解析したところ、day0 で5 ×104 に存在した蛍光強度のピークはday15 でも変わらなかった。最後に、ヒト細胞をP2 day3でFACs Ariaにて分裂速度の遅い細胞群と速い細胞群とに分取した後、骨・軟骨分化誘導をかけるため3 次元高密度培養を行った。real time PCRにてcol2遺伝子発現とトルイジンブルー染色の検証を行ったところ、分裂速度の速い細胞群の方が遅い群よりcol2発現が有意に高く、強いメタクロマジーを示す結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度のもっとも重要な研究項目である、各種骨膜におけるアグリゲート・コロニー形成能の評価において、蛍光標識したヒト由来細胞をFlow cytometerで解析した。その結果、in vitroで培養することにより増殖が促進される一群の細胞が存在し、これらの細胞が骨・軟骨への分化誘導性が高いことを実証することができた。これらの知見は、本研究におけるもっとも重要な骨膜幹細胞の存在を示唆する重要な所見であり、研究初年度の非常に重要な成果と考えられる。そのため、研究はおおむね順調に進展していると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降は、骨膜幹細胞を単離して特異マーカーを確立し、骨膜幹細胞を同定することを試みる。らに低接着ストレスを活用し、幹細胞特性を維持しながら単離、増殖培養を実現し、骨膜幹細胞を用いた現実的な骨再生医療を確立することを目指す。そのため、平成25年度以降は、骨膜幹細胞の同定・単離、低接着ストレスによる骨膜幹細胞の増殖培養法確立、ビーグル下顎骨欠損モデルにおける骨膜幹細胞による骨再建を行なう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
骨膜幹細胞の同定・単離については、FACS(BD社製Aria、現有)を用いて、アグリゲート・コロニー構成細胞から上記マーカーで選別される細胞を分取し、増殖曲線による増殖評価と骨・軟骨・脂肪分化などの多分化能を評価し、選別前のコロニー構成細胞や単層培養による培養骨膜細胞の結果を比較して幹細胞特性の向上を確認する。次いで、ヌードラットの頭頂骨に直径4 mmの欠損を作製し、特異マーカー陽性ヒト骨膜由来細胞をアテロコラーゲンと混和して移植する(primary transplantation)。対照にはアテロコラーゲンのみを移植したものを使用し、X線撮影(ソフロン社製SRO-M50、現有)、μCT撮影(島津社製InspeXio SMX-90CT、東京大学工学部で撮影)、組織像などを用いて移植後2週、1、2ヶ月で骨再生を評価する。再生頭頂骨の骨膜における特異マーカーの局在を免疫染色で同定するほか、ヒト細胞由来であることをヒトXY染色体特異的プローブによるin situ hybridization法で評価する。次いで、primary transplantationで再生された骨膜を採取し、FACSで特異マーカー陽性細胞を単離し、再度ヌードラット頭頂骨欠損モデルに移植する(secondary transplantation)。Secondary transplantationにおける再生骨膜で、特異マーカーの局在同定と、ヒトXY染色体特異的プローブによる由来同定を行い、骨膜が再構成されていること確認し、特異マーカー陽性細胞が組織幹細胞(骨膜幹細胞)であることを検証する。
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