研究課題/領域番号 |
24593053
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50323978)
|
研究分担者 |
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
照光 真 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60401767)
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
吉川 博之 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20547575)
|
キーワード | 口腔顔面痛 / 慢性疼痛 / 味覚刺激 / 嗅覚刺激 / 疼痛変調機構 |
研究概要 |
口腔顔面領域の慢性疼痛患者を対象とし、味覚(味)・嗅覚(匂い)刺激による疼痛変調機構の可能性を研究することを目的とした本研究において、研究2年目の本年度は、昨年に続いて、新潟大学医歯学総合病院歯科麻酔科診療室を受診した、口腔顔面痛患者を対象として研究を実施した。まず患者には各種心理テストを用いた精神医学的診断を実施し、精神医学的診断の有無を評価して、精神医学的診断が除外された患者を対象とした味覚・嗅覚刺激検査を予定した。対象患者は、昨年の41名を加えた計60名とし、まず精神医学的診断に対して各種心理テスト(HADs、SSAS、PHQ-9)、QOL調査(SF-8)、および精神疾患簡易構造化面接(M.I.N.I)を実施した。その結果、疼痛の器質的原因が明らかな三叉神経障害性疼痛を除いた疾患患者(舌痛症、非定型顔面痛、非定型歯痛、顎関節症)の殆どの症例において、精神医学的診断が確定してしまい、精神医学的診断が除外可能な対象患者の選出は困難であるという結果が得られた。そのため、口腔顔面痛患者では疼痛に関与する心理的因子を除外することは非常に困難であるということが今回の調査から示唆された。そのため、当初立案していた研究方法を若干修正し、精神医学的因子が除外できない口腔顔面痛患者も対象として、光脳機能イメージング装置N.I.R.Sを用いた調査の予備調査として、次に自律神経活動測定装置MemCalcの測定を併用しながら、味覚刺激検査(テーストディスク 全口腔法検査)、および嗅覚刺激検査(オフファクトメーター嗅覚試験)を検査に同意の得られた患者に実施した。その結果、自律神経活動には明らかな傾向はみられなかったが、味覚検査において各味覚において疼痛軽減傾向が記録されたが、味についてはばらつきが大きいものの、若干甘味に反応する傾向がみられた。嗅覚検査では明らかな結果はみられなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、光脳機能イメージング装置N.I.R.Sによる測定下に行う味覚・嗅覚刺激による検査は、口腔顔面痛患者のうち、精神医学的診断が除外された患者を対象とすることを計画していた。しかし精神医学的診断はほぼすべての患者において陽性であり、その結果口腔顔面痛患者においては心理的因子を完全に除外することが困難であることが本年度の調査にて明らかになった。そのため対象患者の設定を変更し、研究方法も、N.I.R.S.を用いた調査の前に、味覚・嗅覚検査を自律神経活動測定装置Memcalc測定下に実施して事前調査することとしたため、研究の進行が若干遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究3年目は、健常成人および、対象となる口腔顔面痛患者に対して、N.I.R.Sを用いた味覚・嗅覚試験を主体に実施し、味覚・嗅覚によって生じる疼痛変調機構の可能性の解明を進める予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
味覚検査、嗅覚検査に使用する試薬購入費が当初の予定よりも少なかった。また健常成人対象データ収集のためのボランティア依頼において、謝金を必要とする成人ボランティアを利用しなかったことから謝金が発生しなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。 ほぼ全額、味覚検査と嗅覚検査に使用する試薬の購入費用として使用する予定である。
|