研究課題/領域番号 |
24593054
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山近 英樹 岡山大学, 大学病院, 講師 (10294422)
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研究分担者 |
辻極 秀次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70335628)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 骨再生 / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
平成25年度の研究実施計画に従い、間葉系幹細胞移植用のスキャホールドとして「βTCPの構造・性状の検討」を行った。300μmの貫通孔は100, 500, 1000μmの貫通孔に比較して幹細胞が効率的に入り込むことが確認できた。またSEMによる表面性状の解析より、1200℃付近までは焼成温度の上昇にしたがいTCP表面の陥凹が次第に大きくなるが、1200℃以上で焼成したTCPでは表面の陥凹がすくなくなり平滑となるため移植細胞の付着が起こりにくくなることが確認された。さらに焼成したTCPのX線回折パターンの解析より、1200℃以上で焼成したTCPにはαTCPが混入することが確認された。マウスでの移植実験では、αTCPは生体内へ移植した際に溶出しやすく、さらにこのため異物反応が惹起され移植用のスキャホールドとしては不適切であることが判明した。 これらの結果から、βTCPスキャホールドは断面がハニカム型で直径300 μmの貫通孔を付与することが有効であることがわかった。さらにβTCPの焼成温度は、1200℃が適切であることがわかった。 また本年度の「骨内循環再現システム内での細胞間相互作用の確認」では、マウス皮下への間葉系幹細胞の移植実験中に、マウス血液中のT細胞とB細胞の割合が変動することを見つけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度には、(1)骨内膜細胞の採取および細胞膜抗原精査、(2)骨系前駆細胞への誘導、(3)骨系前駆細胞への分化、を予定していた。これらについては、計画通り順調に達成することができていた。 平成25年度には、予定していた(1)βTCPの構造・性状の検討、を順調にすませ、研究成果はJournal of biomedical materials research Aに掲載された。本年度のもう一点の予定であった、(2)骨内循環再現システム内での細胞間相互作用の確認、ではそこから波及して間葉系幹細胞の移植や、骨粗鬆症治療薬の投与により、免疫系とくにリンパ球に直接的な影響を与えていることを発見した
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 以前より骨系疾患と、免疫との関連はさまざまな場面で議論されているが、今回われわれが発見した骨粗鬆症治療薬による、リンパ球への直接的な影響は新しい発見と思われる。平成26年度はこの点にも配慮した研究を進める。 具体的には、平成26年度実施予定の骨粗鬆症病態解明に関連して、間葉系幹細胞や骨粗鬆症治療薬が、造血幹細胞、リンパ球の分化へあたえる影響に着目して研究を進める。
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