研究実績の概要 |
平成26年度研究計画に従い、マウス骨系前駆細胞へ誘導した細胞をβ-TCP内に混和し作成した「骨内環境再現システム」を正常マウスおよびOVX(卵巣摘出)骨粗鬆症マウスの生体内に移植し、「骨内環境再現システム」がそれぞれのマウスに与える影響を検討した。 移植をうけたマウスから末梢血および脾臓細胞を回収しCD45, CD3e, CD19, CD49b, CD11c, CD4 ,CD8aについて解析した結果からは、「骨内環境再現システム」および骨粗鬆症治療薬テリパラチドはT細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞の分画に影響をあたえないことがわかった。。しかしながら骨粗鬆症治療薬であるリゼドロネートは末梢血中のT細胞を増加させ、B細胞を減少させることがわかった。 マウス血清中のサイトカイン解析からは「骨内環境再現システム」の移植は、G-CSFを増加させることがわかった。一方リゼドロネートの投与によっても、G-CSFが増加するが炎症性サイトカインであるIL-1a、IL-6、IL-7が減少すること、テリパラチドの投与により同様にG-CSFが増加するが、IL-1a、IL-6、IL-7が増加することが確認された。 本研究の研究期間全体を通じては、(1)間葉系幹細胞のなかでも骨系細胞へ誘導しやすい細胞は、CD34+,c-Kit+,Sca1+細胞であること。(2)間葉系幹細胞のスキャホールドとしては、1200℃で焼成したβ-TCPに直径300 μmの貫通孔を付与したものが有効であること。(3)これに間葉系幹細胞を含む骨系細胞を貫通孔に入れ込み移植体とした「骨内環境再現システム」を用いた実験より、骨粗鬆症とその治療薬によりT細胞が影響をうけており、特にγδT細胞が影響をうけていること、そしてそこにはWnt10bが影響している可能性があること。などを解明した。
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