研究課題
背景・目的:口腔・顔面におけるさまざまな痛み、特に処置による急性痛の管理や末梢神経損傷後の神経障害性疼痛は科学的治療法がなく、またしばしば不安や鬱を併発し痛みの悪循環を引き起こすことがある。したがって、慢性疼痛の発症機構と合わせ、気分障害のメカニズムを解明することは、臨床的に極めて重要である。本研究では、慢性疼痛を感覚系および情動系(帯状回、島、扁桃体など)神経回路の変調と捉え、これらの分子機構を解析する。特に、高次神経疾患に共通するとされている神経栄養因子(BDNF)とその関連シグナルの挙動に注目し調べた。方法:H26年度では、末梢神経障害(坐骨神経を当初の歯髄神経に代わり検討した)後7、14日目に痛覚過敏とうつ様行動を評価した。また実験後に脳を摘出し、感情調節を担う前帯状回(ACC)とモノアミン含有で気分を調節する神経回路の起始である延髄網様体(RVM)におけるpERK, CREB,およびBDNFb含量やmRNAを調べた。 また、これらの病態に対し、向精神薬のイミプラミン(IMI)と慢性痛の治療薬ノイロトロピン(NTP)、および、pregabalin(PG)を参照として、神経栄養因子誘導剤(4-MC)および磁気治療のこれらに対する修飾作用を調べた。結果・結論:IMIおよびNTPは有意な鎮痛効果や抗うつ作用を示したが、PGの抗鬱効果は不明であった。今回の主目的である磁気治療や栄養因子治療は、これら鎮痛効果や抗うつ作用を示すと共に、ACCおよびRVMでのpCREBの活性化を介したBDNF mRNA増加作用をエビデンスとすることが判明した。この成果は、慢性疼痛の治療法に新たな指針を提示するものと考えられる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件)
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