研究課題/領域番号 |
24593062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高田 耕司 日本大学, 歯学部, 講師 (00216657)
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研究分担者 |
三枝 禎 日本大学, 歯学部, 講師 (50277456)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アドレナリン受容体 |
研究概要 |
青斑核および延髄腹側部のノルアドレナリン(NA)神経は,中脳-辺縁系ドパミン(DA)神経が投射する側坐核へ入力している。我々はα1受容体の作動薬のmethoxamineまたは拮抗薬のprazosinのラットの側坐核への灌流投与実験から,側坐核ではα1受容体が同部位のDA放出を抑制的に調節することを報告してきた(Saigusa et al., 2012)。 一方,α1受容体にはα1A,α1B,α1Dの3つのサブタイプがあるが,これら受容体のmethoxamineの惹き起した側坐核のDA量の減少への関与は明らかでない。そこで本研究では,α1受容体の各サブタイプの選択的拮抗薬がmethoxamineの誘発した側坐核のDA放出低下を抑制するか否かを指標として,α1受容体サブタイプがmethoxamineの効果発現において果たす役割について検討した。 実験にはS-D系雄性ラット(体重約200 g)を用いた。脳微小透析法により,無麻酔非拘束の条件下で側坐核から回収した細胞外液に含まれるNAおよびDAをHPLC-ECD法で20分毎に定量した。使用薬物は灌流液に溶解し,透析プローブから逆透析で側坐核に局所灌流投与した。 Methoxamineの投与の結果,基礎NA量に目立った変化はなかったがDA放出は約20%減少した。このmethoxamineによるDA放出減少は,基礎NAおよびDA放出に影響がない用量の5-methylurapidil(α1A受容体拮抗薬),cyclazosin(α1B受容体拮抗薬),BMY 7378(α1D受容体拮抗薬)をそれぞれ前投与したところ,ほぼ完全に消失した。 以上の結果から,α1受容体作動薬のmethoxamineが示す側坐核のDA放出抑制の発現には,同部位のDA神経終末上のα1A,α1B,α1Dの各受容体を同時に刺激する必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初,予定していたα1受容体サブタイプ系薬物の単独投与実験が,予定よりも4カ月程度早く終了したことに伴い「前倒し請求」を行って,α1受容体サブタイプ系薬物の併用投与実験を開始した。この研究の成果の一部は,研究分担者・協力者の三枝・青野が,2013年3月に福岡県で行われた日本薬理学会で発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
「前倒し請求」を行って開始したα1受容体サブタイプ系薬物の併用投与実験は順調に進んでおり,すでにこの研究の成果の一端は2013年3月に福岡県で行われた日本薬理学会で発表した。当該年度はこの実験を継続すると共に,かねてより課題としていたβ受容体を介した側坐核のドパミン神経促進機構(Eur J Pharmacol, 601, 2008)を解明するため,β1受容体サブタイプとβ2受容体サブタイプに選択的に作用する薬物の効果を指標として側坐核のドパミン神経活動制御におけるこれら受容体の役割について検討を加えることを計画している。 【役割分担】統括:高田耕司(研究代表者),神経化学・行動学・組織学実験の遂行・助言:三枝 禎(研究分担者),神経化学・行動学・組織学実験の遂行:内田琢也(研究協力者),青野悠里(研究協力者),関野麗子(研究協力者),田口寛子(研究協力者),研究の助言:A. R. Cools(海外研究協力者),J. L. Waddington(海外研究協力者)
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度の繰越金(9万円程度)のほか110万円を実験のための物品費として使用することを計画している。主な使途は,実験動物,試薬,HPLC用消耗品の購入である。このほかに10万円を旅費に充てる予定である。主な使途は,2014年3月18から21日にかけ4日間にわたり宮城県仙台市で行われる日本薬理学会とサテライトミーティング(神経行動薬理若手研究者の集い)における研究成果の発表のための都内から仙台までの交通費・仙台での滞在費(4泊5日)である。
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