研究課題/領域番号 |
24593063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
米原 啓之 日本大学, 歯学部, 教授 (00251299)
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研究分担者 |
堤 定美 日本大学, 歯学部, 教授 (00028739)
本田 和也 日本大学, 歯学部, 教授 (30199567)
姜 有峯 日本大学, 歯学部, 研究員 (40437273)
生木 俊輔 日本大学, 歯学部, 助教 (70386077)
大木 秀郎 日本大学, 歯学部, 教授 (80147628)
上原 浩之 日本大学, 歯学部, 助教 (90409102)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨造成 / 骨再生 / 人工骨 |
研究概要 |
骨欠損および骨吸収が見られる症例においては,顎義歯装着や歯科インプラント埋入による咬合再建のために,骨移植や人工骨移植などによる硬組織再建や骨造成が行われている。咬合再建の安定した結果を得るためには骨吸収・再生過程の解明と十分な骨量が維持されていることの適切な評価が必要であり,この評価を非侵襲的に標準化された方法で行い,形成された骨に見合う適切な治療法を選択する必要がある。本研究では,移植骨吸収・再生過程の解明と画像情報を基にして,義歯装着やインプラント埋入に利用できる標準的評価法の確立を目指している。 本年度の研究では,(A)骨膜より再生される骨量の経時的変化の検討:実験動物において,血管柄付きで挙上した骨・軟骨弁により再生される骨・軟骨量を経時的に観察し,再建材料として用いるのに最適な骨・軟骨量の得られる時期を決定するための実験を行った。(B) 骨再生のための足場素材の影響の検討:α-TCP,HAを骨膜下に足場素材として埋入し,その生体親和性,強度や可塑性についての検討を行うとともに,支持組織としての必要な期間が過ぎた後には生体内において吸収される過程について検討を行った。(C)骨膜からの骨形成過程に発現する骨形成関連遺伝子の分析:骨再生過程に発現する関連遺伝子等について,人工骨埋入した骨欠損部の修復過程において検討した。 上記(A),(B),(C)の動物実験の結果から,血管柄付き骨膜からの骨再生は骨切除後5日より2週間で旺盛な骨再生が認められ,その後当初見られた網状骨が層板骨になり,緻密化していくことが解明された。足場材料の影響では,同じ材質の足場材料でも材料の形状により骨造成に対する影響が異なることが認められた。骨造成に有効と思われる形状に加工された足場材料の埋入により,旺盛な骨造成が認められた。またこの過程の遺伝子等の発現が足場材料に影響されることも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の実施予定であった研究計画のうちで,<血管柄付き下腿骨膜における骨再生量の検討>,<骨膜からの骨形成過程に発現する骨形成関連遺伝子の分析>および<骨再生における足場素材の影響の検討>については,概ね研究計画に沿って研究を遂行することが可能であった。ただこれらの研究計画のうち定量的に解析行うための数量が不足している。このほかの研究課題である,<骨形成促進物質の検討>および<PRP含まれる骨形成促進物質の同定>については,やや研究計画に遅れが見られ,次年度以降に研究を行う必要がある。この遅れが生じた原因としては,骨膜からの骨再生量や人工骨が骨造成量に与える影響などをX線画像などにより定量的に検討した上で,<骨形成促進物質の検討>および<PRP含まれる骨形成促進物質の同定>の研究を行う必要が有り,その検討結果の解析・検討がやや遅れているためである。また骨造成時や骨再生時の力学的強度の測定についても,研究計画に比べ遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度行った研究計画のうち概ね計画通りに進行している<血管柄付き下腿骨膜における骨再生量の検討>,<骨膜からの骨形成過程に発現する骨形成関連遺伝子の分析>および<骨再生における足場素材の影響の検討>の研究をさらに進め,定量的な解析に十分な数量を確保する。本年度の研究計画のうち遅れが見られている<骨形成促進物質の検討>と<PRP含まれる骨形成促進物質の同定>については,先行研究の検討結果が出次第,研究を実施することとする。 当初25年度に行う研究である,<自家骨の生体内への移植後の変化>,<再生骨の生体内への移植後の変化>および<再生骨の生体内への血管柄付き移植後の変化>については,24年度に行った研究の結果を踏まえ現時点で研究開始が可能であり,研究を一部では既に開始している。 現状の研究では,主として定性的な評価および検討は十分に行えているが,数量的な問題から定量的な解析が不十分である。このため今後の課題としては,定量的に統計学的な評価などが適切に行える数量を確保できるよう,研究を遂行していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究において特に新たな設備および備品を購入する必要が無いため,大きな研究計画の変更は行わない予定である。25年度の研究においては,24年度の研究結果を踏まえて数量的な増加を行い,定量的評価が可能となるように研究計画を進める。このため24年度と同様に,実験用動物,実験用機材および試薬などの消耗品費の支出が多い計画となっている。尚,【現在までの達成度】の項目において記載した様に,本年度の実施予定の計画において定量的な測定および解析を行う項目において実験計画に遅延が生じたため,主として研究計画において測定および解析を行う分担研究者が担当する分担金が本年度未使用となっている。この未使用となっている予算については,次年度定量的な測定および解析を行う研究を実施する際に使用する予定であり,次年度への繰越金とする。
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