研究課題/領域番号 |
24593068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
河原 博 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10186124)
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研究分担者 |
河原 幸江 久留米大学, 医学部, 講師 (10279135)
阿部 佳子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (30401334)
原野 望 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50423976)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ストレス / 神経科学 / 脳・神経 / 薬理学 / 歯学 / 精神鎮静法 / 抗不安薬 / マイクロダイアリシス |
研究概要 |
歯科治療がストレッサーとして生体に受容される過程,ならびに静脈内鎮静法の作用発現に重要なニューラルネットワークである「ストレッサーを認識・認知するネットワーク」と,「不安や恐れなどのいわゆる陰性情動の発現に関係するネットワーク」について検討を行った. 研究にはWistar系ラットを用い,神経科学的研究手法であるマイクロダイアリシス(微小透析法)を用いて神経伝達物質の動態を検討した.ラットに負荷するストレッサーとして,ハンドリングストレスを用いた.ストレッサーを認識・認知するネットワーク」に関しては,大脳皮質内側前頭前野,扁桃体中心核を対照とし,「不安や恐れなどのいわゆる陰性情動の発現に関係するネットワーク」に関しては,扁桃体基底外側核を対象とした.これらの脳部位に全身麻酔下にマイクロダイアリシスプローブを埋入し,全身麻酔覚醒から24時間以降に,無麻酔・無拘束・自由行動状態でマイクロダイアリシスを行った.すなわちマイクロダイアリシスプローブに人工脳脊髄液を灌流して,脳内シナプス間隙に存在する神経伝達物質を回収し,高速液体クロマトグラフィー・電気化学検出器でこれらの神経伝達物質の定量計測を行った. その結果,ハンドリングストレスにより,大脳皮質内側前頭前野,扁桃体中心核,さらに扁桃体基底外側核のモノアミン神経伝達物質が増加することを見出した.これらの神経伝達物質の増加は,精神鎮静法薬であるミダゾラムとプロポフォールの全身投与により抑制された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,「ストレッサーを認識・認知するニューラルネットワーク」「不安や恐怖などの情動発現に関係するニューラルネットワーク」「循環系や内分泌代謝系などの自律神経系反応形成に関係するニューラルネットワーク」「ストレッサーを学習し記憶するニューラルネットワーク」以上の4つのネットワークへのストレッサーと精神鎮静法薬の作用を検討することにしている.平成24年度中にこの4つのネットワーク中,前者の2つのネットワークへの作用を検討することができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,「循環系や内分泌代謝系などの自律神経系反応形成に関係するニューラルネットワーク」「ストレッサーを学習し記憶するニューラルネットワーク」に関する研究を展開し,歯科治療がストレッサーとして生体に受容される過程と静脈内鎮静法の作用発現機構を解明する.
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次年度の研究費の使用計画 |
小動物用超精密脳定位固定装置が当初予定よりも低額で購入できたため,次年度使用額35,550円が生じた.翌年度分の助成金と合わせ,主にマイクロダイアリシスに必要な薬品などの消耗品費と学会での研究成果発表のための旅費として使用する計画である.
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