研究課題/領域番号 |
24593069
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
高岡 一樹 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60373122)
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研究分担者 |
浦出 雅裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70104883)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨治癒 / 破骨前駆細胞 / 微小環境因子 |
研究概要 |
抜歯後骨治癒に微小環境因子の探索のため,まず,骨治癒遷延のモデルとして,自然発症2型糖尿病(SDT)ラットとビスフォスフォネート系(BP)製剤を投与したラットを用いて,抜歯後治癒遷延状態の解析を行った. 【材料・方法】7週齢雄Sprague-Dawley(SD)ラットおよびSDTラットを用い,BP投与群はゾレドロン酸 35μg/kgを,対照群は生食を尾静脈より投与した.22週間11回投与後,上顎臼歯を抜歯し,術後2,4,8週目に上顎骨を摘出,HEおよびTRAP染色を施し鏡検した.術後4週目屠殺群のみ屠殺2,7日前にカルセインを投与し,蛍光顕微鏡による骨形成速度の検討を行った. 血清から骨代謝マーカーの測定を行った.【結果】SD/BP投与群は対照群より抜歯窩の新生骨形成の減少がみられ, 術後8週目でも上皮化していないものが見られた(16.7%, 1/6).SDTラットは16週齢以降に600mg/dl以上の高血糖を生じていた.SDT対照群はSD対照群に比べて新生骨形成が減少し治癒遷延状態であったが,術後8週目には完全な上皮化が見られた.一方,SDT/BP投与群は術後8週間経過しても上皮化せず著しい骨露出状態が続いていた(100%, 6/6).骨代謝マーカーTRACP-5bはSDTラットはSDラットと比較して有意に低下していた.骨形成速度の差は明らかでなかったが,SDT/BP投与群のTRAP陽性細胞数は有意に減少していた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット抜歯窩骨新生における組織形態学的および免疫組織学的に検討を行えたが,骨組織内微小環境および遊走因子の解析がまだ十分に行えていない.特に,in vitroの解析が不十分である.
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今後の研究の推進方策 |
マクロファージ系細胞株であるRAW264.7細胞(American Type Culture Collection)およびラット破骨前駆細胞(コスモ・バイオ)を用いて分子生物学的研究を推進していく. 細胞内Rac活性化の検討:細胞内Rac活性をActive Rac1 Pull-Down and Detection Kit(Thermo scientific)を使用して測定用のサンプルを製作する.つまり,破骨前駆細胞をSDF-1/CXCL12,S1P,S1PR2アンタゴニスト含有培地(走化性亢進最至適濃度)で3時間の培養を行い,単離,遠心分離した細胞にタンパク質抽出用緩衝液を加え,超音波粉砕器で処理し,高速微量遠心分離により不溶解物を除去したものをサンプルとする.そのサンプルをWestern blotによりRac1の発現を比較検討する. ラット抜歯後組織の遺伝子・蛋白発現の検討:Sprague-Dawley rat(雄6週齢)に10倍希釈したネンブタール注射液を50mg/kg腹腔内注射を行い,全身麻酔を施行後に上顎片側臼歯の抜歯を行う.抜歯後,各種SDF-1/CXCL12,S1P,S1PR2アンタゴニスト,CXCR4阻害剤を試料採取まで腹腔内投与を毎日行う.対照群として0.02%酢酸含有PBSを使用する. 抜歯後1日目,3日目に抜歯窩の肉芽組織を採取し,SV total RNA isolation system (Promega, Madison WI)を使用してtotal RNAを抽出しRT-PCRにてCXCR4,S1PR1,S1PR2,PSGL-1発現の検討を行う. 同様にWestern blotにおいて蛋白発現について検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
マクロファージ系細胞株であるRAW264.7細胞(American Type Culture Collection)およびラット破骨前駆細胞(コスモ・バイオ)を購入する. 細胞内Rac活性検討時のActive Rac1 Pull-Down and Detection Kit(Thermo scientific)が必要で,Sprague-Dawley ratおよび蛋白発現の検討におけるWestern blot施行時の抗体(CXCR4,S1PR1,S1PR2,PSGL-1)の購入を行う. また,成果発表時の学会旅費および参加費に使用する.
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