実験動物に生後10週齢のWister系雄性ラットを用い、歯の移動にWaldoの方法を用いた。上顎の左側第一臼歯と第二臼歯とのコンタクト部に厚さ約0.5×1 mm~1×1 mmのゴムを挿入することで左側第一臼歯を近心へ、第二臼歯を遠心に傾斜移動させた。ゴムの脱落がなく歯の移動が終了したラット13匹に対し、保定を目的として、離開した第一臼歯と第二臼歯歯間部にレジンセメントを充填し固定した。これら13匹を次の4群に分けた。①移動終了時の群(以下、保定0日群)4匹、②移動終了後に保定期間7日間を経た群(以下、対照群)4匹、③移動終了後の保定期間7日間に合計6回LIPUS照射を併用した群(以下、LIPUS照射群)5匹、さらにLIPUS照射を行っていない8匹のうちから5匹を抽出し、歯の移動を行っていない上顎右側第一臼歯を観察部位とし④歯の移動に対する対照群(以下、無処置群)とした。 結果として、歯槽骨体積は、「歯根中央部」の計測範囲において無処置群に対し保定0日群、対照群、LIPUS照射群の骨体積はすべて5 %水準で有意に小さい値を示した。次に、保定0日群に比して対照群には有意差は見られなかったものの、LIPUS照射群の歯槽骨体積は有意に大きい値を示した。さらに、LIPUS照射群の歯槽骨体積は対照群に比しても有意に大きい値を示した。一方、「歯根尖側部」においても保定0日群の骨体積は無処置群に比して有意に小さい値を示した。また、保定0日群に比して、対照群およびLIPUS照射群はいずれも有意に大きい値を示した。一方、無処置群と対象群およびLIPUS照射群の間、ならびに対照群とLIPUS照射群の間で歯槽骨体積に有意な差は見られなかった。
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