研究課題/領域番号 |
24593073
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
門馬 祐子 東北大学, 加齢医学研究所, 非常勤講師 (00191073)
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研究分担者 |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
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キーワード | ウイルス感染 / 歯の形成異常 / 炎症 / 自然免疫 / 細胞傷害性 |
研究概要 |
ウイルス感染が歯の形成不全を起す可能性を示す疫学調査が報告されており、研究代表者は、マウスの系において、ヘルペス科ウイルス感染により歯の形成障害を起すことを明らかにしてきた。しかし、その分子メカニズムが、ウイルスの細胞傷害性によるものか、生体防御反応による炎症によるものかについて、十分に解明されていない。本研究では、ウイルス感染による歯の形成障害が、ウイルスの細胞傷害性によるものか、炎症反応の影響かを明らかにすることを目的とする。 昨年度までマウス単層細胞を培養し、ヘルペス科ウイルス感染後の培養上清中の炎症性サイトカインが上昇することが判明した。次にIFN-γ、TNF-αならびにIL-1βの混合液で細胞を刺激した場合、IL-8, IL-6, MCP-1の産生量は有意に上昇するため、NK細胞から産生される炎症性サイトカインは、炎症反応の悪化につながるものと考えられた。さらに、NK細胞のみならずT細胞の解析を進めている。各種ウイルス感染時に反応するT細胞を網羅的に解析するためのツールとして、T細胞のレパートリー解析技術の開発を進めている。T細胞は1020もの多様性をもつため、レパートリー解析は困難を極めるが、組織からRNA抽出し、cDNA合成、TCRα鎖、β鎖特異的PCR法にて増幅し、塩基配列のシークエンスをすることで網羅的解析を試みている。次年度は、疑似ウイルス感染のモデルとして、オリゴDNAを合成し、マウスに投与することで起こる免疫反応について、NK細胞、T細胞に焦点をあてて解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitro実験における、サイトカインの産生についての結果を確認した。動物実験は予定より遅れている。しかし、T細胞の網羅的解析を研究計画に加えたため、研究自体は重厚な研究がすすんでいる。最終年度までに目的は達成可能と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
疑似ウイルス感染のモデルとして、オリゴDNA、オリゴRNAを合成しマウスに投与して反応を検討する。さらに炎症サイトカインを励起させるGC-richの領域、それ以外の領域のオリゴDNAをマウスに投与し、炎症がマウスの歯の形成異常に与える影響を観察する。同時に、ウイルス性疾患におけるNK細胞の標的細胞認識機構であるNKG2Dリガンドの発現を調べる。 次に、細胞障害性の観点から、他の領域のオリゴDNAをマウスに投与し、歯の形成異常に与える影響を観察する。in vitroにおいて、細胞に接種し、一定時間後に細胞のレセプターの発現量を測定し、評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していた動物実験、および細胞解析を次年度に延期することによって生じたものであり、次年度以降に実施する動物実験および細胞解析に必要な経費として、平成26年度請求額と合わせて使用する予定である。 物品費並びに研究補助の謝金に使用し研究成果を挙げるとともに、旅費、その他の費用を用いて、学会および専門誌にて研究の成果発表をおこなう。
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