研究課題/領域番号 |
24593075
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北浦 英樹 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (60295087)
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研究分担者 |
山本 照子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00127250)
竹下 信郎 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50431515)
清流 正弘 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80510023)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨細胞 / 破骨細胞 / TNF / RANKL |
研究概要 |
破骨細胞分化の必須誘導因子として骨芽細胞が発現するRANKLが発見され、破骨細胞の分化・活性化機構の解明が進歩した。また、近年、同じように炎症性のサイトカインであるTNF-αでも破骨細胞が誘導されることがわかった。このことから一般的に骨のリモデリングを含む生理的骨吸収は、RANKLが主に働いており、リウマチや感染などによる病的骨吸収は、TNF-αが主に働いているものだと考えられている。それらのことよりTNF-αでの破骨細胞形成のメカニズムの解明することは、重要な課題となっている。破骨細胞形成は、破骨細胞前駆細胞である骨髄マクロファージ、RANKLを発現する間質系細胞(特に骨芽細胞)およびT細胞が関与しているといわれている。最近の報告で、骨細胞特異的にRANKL遺伝子が破壊されるトランスジェニックマウスにおいて、生理的な破骨細胞形成が抑えられ、骨硬化症を呈することが示された。これより、骨細胞がRANKLを分泌し生理的骨吸収をコントロールしているということがわかった。本研究では、破骨細胞形成に関与している細胞である骨細胞のin vivoでのTNF-αによる破骨細胞形成への関与を検討しそのメカニズムを解明することを目的として研究を開始した。まず、骨細胞の単離から行った。マウス頭蓋骨より、軟組織を取り除いた後、コラゲナーゼ等で酵素処理を行い、骨表面の細胞を取り除いた骨を調整し、その後キレート剤を用いて脱灰することにより純度の高い骨細胞の単離を試みた。採取した細胞を顕微鏡下で観察したところ樹状様の突起物がある骨細胞様の細胞が単離されたことが確認された。今後、この骨細胞様細胞を用いて、RANKLの発現、共培養による破骨細胞形成を観察していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス頭蓋骨より、軟組織を取り除いた後、コラゲナーゼ等で酵素処理を行い、骨表面の細胞を取り除いた骨を調整し、その後キレート剤を用いて脱灰することにより純度の高い骨細胞の単離を試みたが、最適なコラゲナーゼ処理の時間の条件を決めるのに時間がかかった。短すぎると他の細胞が混在してしまうか、長すぎると細胞死がおこった。また、キレート剤を作用させる時間の条件を決めるのにも時間がかかった。短すぎると採取できる細胞数が少なくなり、長くなると細胞死がおこった。
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今後の研究の推進方策 |
9-10週齢雄マウス(C57BL6)大腿骨・脛骨より骨髄細胞を採取し、マウス頭蓋骨より単離した骨細胞と96穴ウェルプレートにて骨細胞104cell/wellと骨髄細胞105cell/wellをVitamin D3(10-6M)およびTNF-α(100ng/ml)存在下でα-MEM 200μl培養液中で5-10日共培養を行い経時的に破骨細胞形成を観察する。TRAP染色にて確認を行う。評価は細胞像、TRAP陽性細胞の数をカウントすることで行う。方法は、我々が通常行っている骨芽細胞の共培養の方法に準じて行う。さらに単離した骨細胞をα-MEM 200μl培養液中で経時的にTNF-α(100μg/ml)を作用させ、細胞を回収し、Total RNAを精製し、破骨細胞分化関連因子であるRANKL、OPGおよびM-CSF等のmRNAの発現をreal-time PCR法を用いて定量的に解析する。その骨細胞にTNF-αを作用させ、経時的に細胞を回収、細胞溶解し、ウェスタンブロットにて、NF-kBの経路、MAPKの経路およびAktの経路などのシグナル伝達因子の発現とリン酸化を観察する。骨芽細胞も同様な作用があることから生後1日齢マウスより、頭蓋骨を取り出し、平滑筋等の周囲の組織を取り去り細かく断片化し、組織培養用コラーゲン入りの培養液中で培養し、5-7日後に回収し、初期培養の骨芽細胞として単離してくる。骨細胞と同様にマウスより採取した骨髄細胞と共培養でTNF-αを作用させ、破骨細胞形成能を比較する。同様に破骨細胞形成因子の発現をreal-time PCR法等の生化学的評価法で、骨細胞と比較する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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