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骨形成因子の一つであるGrowth/differentiation factor-5（GDF-5）はTGF-βスーパーファミリーに属し、軟骨・骨形成を促進することが報告されている。また、口腔領域にも発現することが知られている。しかし、歯の発生に関する報告は少なく、GDF-5の歯髄細胞に対する作用は不明である。
我々は、幼若歯髄細胞にGDF-5を加えると象牙芽細胞分化マーカーの発現が上昇することを示したが、歯髄細胞には、多分化能を有した幹細胞はごくわずかしか存在しないため、象牙芽細胞分化誘導を評価するには不十分だった。そこで、本研究課題においてはマウス歯髄由来幹細胞を用いて、歯髄幹細胞に対するGDF-5の影響を、象牙芽細胞への分化能に着目して検討した。
歯髄幹細胞にGDF-5を添加培養した群のdentin sialophosphoprotein（DSPP）の遺伝子発現は、GDF-5非添加群に比較し有意に上昇した。また、Bone sialoprotein（BSP）の遺伝子発現は培養48時間後においてGDF-5添加群で上昇し、Alkaline Phosphatase（ALP）では、培養24時間後、48時間後いずれにおいてもGDF-5添加による遺伝子発現の有意な変化は見られなかった。
GDF-5は、象牙芽細胞マーカーであるDSPP遺伝子の著しい発現上昇を誘導したことから、本分子は歯髄幹細胞を象牙芽細胞へ直接分化促進する作用を持つことが明らかとなった。多くのTGF-βファミリー分子は、骨基質やALPの発現を早期に調節するものが多く、DSPPのみを発現誘導するものはほとんどない。このことから、幹細胞を骨芽細胞でなく象牙芽細胞に分化誘導させる為にGDF-5は重要な役割を演じている可能性が示唆された。
さらに、ヒトの歯髄細胞に対するGDF-5の影響を検討するため、ヒト歯髄細胞の培養を進めている。
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