近年、母親の歯周病と早期低体重児出産との関連が注目され、世界各国にて多くの疫学研究が行われているものの、それを裏付ける明確な研究成果は示されておらず、また、日本人を対象とした大規模研究はなされていない。 本研究では、大阪大学大阪大学医学部総合周産期母子医療センターとの連携のもと、大規模な対象の分析から「日本人における歯周病と早期低体重児出産」との関連を明確にするとともに、その発生メカニズムについても改名し、歯科的アプローチによる早期低体重児出産予防システムの構築を目標とした。 大阪大学大阪大学医学部総合周産期母子医療センターに、出産後の1か月検診のため来院した母親の歯周状態を評価することによって、早期低体重児出産と歯周病の疫学調査を行った。また。唾液をサンプルとして、細菌DNAを抽出後、分子生物学的手法を用いて、歯周病原生細菌に対する分子生物学的解析を行った。 低体重児出産軍における検出総菌数は0~8菌種であり、その平均は4.67菌種であった。各菌種別の比較では、低体重児出産群において、Porphyromonas gingivalisの検出率が対照群より高い値を示した。 これまでの研究成果をもとに、平成26年10月より、マタニティ歯科外来を開設し、妊婦を対象とした歯科相談、口腔衛生指導を行っている。母親の口腔衛生管理の重要性を啓発することによって、生まれてくる子どもの健全な口腔の育成を目指している。
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