研究課題/領域番号 |
24593089
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤田 一世 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00437386)
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研究分担者 |
仲野 道代(松本道代) 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30359848)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Streptococcus mutans / グルカン結合タンパクB / mreC遺伝子 / mreD遺伝子 / 欠失変異株 / 増殖速度 / 耐酸性 / バイオフィルム |
研究概要 |
齲蝕病原細菌 Streptococcus mutans の菌体表層にはグルコシルトランスフェラーゼ(GTF)、タンパク抗原 c (PAc)、グルカン結合 タンパク (Gbp) などのタンパク構成分が存在し、齲蝕の発生と強く関与していることが知られている。Gbp はこれまでに、GbpA、Gbp B、GbpC、GbpD の4種が示され、それぞれをコードする遺伝子配列が決定されている。その中で、クルカン結合タンパクB (GbpB) は 、細胞の分裂や維持に関係し、これまで発見されている他の3種のグルカン結合タンパクとは生物学的に異なる性状を有していることが示されている。今回、我々はgbpB 遺伝子の上流に位置し、細胞形態を決定すると推定される遺伝子 mreC 及びmreD を抽出し、GbpBの発現への関与を検討した。はじめにmreC 遺伝子にエリスロマイシン耐性カセットを挿入したプラスミドを作製し、S. mutans GS5株に組換えることにより、MreC欠変異株 を作製した。この欠失株の特性について、検討したところ、mreC 欠変異株では、親株と比較して、増殖速度の遅延および耐酸性の低下が認められた。また、mreC 遺伝子の欠失により、下流に存在するmreD 遺伝子の発現量が増加することからmreC 遺伝子は、mreD 遺伝子の発現調節因子として機能していることが示唆された。さらに、 mreC 遺伝子欠失変異株における生物学的特性の変化は、gbpB 欠失変異株においても同様なことが認められることから、S. mutans の細胞の維持や分裂に関連する gbpB 遺伝子の発現に mreC 遺伝子が関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた内容に沿って、研究を進めて行っているが、Streptococcus mutans の全アミノ酸配列より細胞形態を決定すると推定される遺伝子 mreC 及び mreD を抽出し、GbpB 発現への関与を検討するために、MreCタンパクを欠失させた欠失変異株を作製した。今後も、様々な手法を用いて、GbpBの発現のメカニズムについて検討を加えたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
S. mutansのmreD遺伝子の欠失株の作製を行う。S. mutans染色体DNAを鋳型として、mreD遺伝子をPolymerase Chain Reaction法により増幅し、そのDNA断片をベクターpUC19に挿入する。そのプラスミドを用いて、mreD遺伝子を欠失させた変異株を作製する。作製したMreDおよび、MreC欠失株を用いて、バイオフィルム形性能の検討を行う。欠失変異株とその野生株のバイオフィルムを比較することにより、欠失した遺伝子のバイオフィルム形性能における役割を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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