研究課題/領域番号 |
24593089
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤田 一世 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00437386)
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研究分担者 |
仲野 道代 (松本 道代) 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30359848)
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キーワード | Streptococcus mutans / グルカン結合タンパクB / mreC遺伝子 / mreD遺伝子 / 欠失変異株 / 増殖速度 / 耐酸性 / バイオフィルム |
研究概要 |
齲蝕原性細菌Streptococcus mutansの菌体表層タンパクの一つであるグルカン結合タンパクB (GbpB)は、細胞の分裂や維持に関係し、他のグルカン結合タンパクとは生物学的に異なる性状を有している。本研究では、S. mutansの全遺伝子配列よりGbpBをコードするgbpB遺伝子の上流に存在し、細胞形態を決定するタンパクをコードすると推定される遺伝子であるmreC遺伝子およびmreD遺伝子を抽出し、GbpBの発現との関連について検討を行った。始めに、mreC遺伝子の全配列をもとに設計したプライマーを用いてmreC遺伝子の一部と相補的なDNAプローブを作成し、S. mutans GS5株から抽出したRNAを用いてノーザンブロッティングを行ったところ、mreC遺伝子、mreD遺伝子および、gbpB遺伝子の全長の合計に相当する位置にバンドが検出された。このことからmreC遺伝子、mreD遺伝子および、gbpB遺伝子は一つのオペロンとして機能している可能性が示唆された。次に、mreC遺伝子および、mreD遺伝子の中央付近に抗生物質耐性遺伝子を挿入したプラスミドをS. mutans GS5株に形質転換し、MreC欠失変異株およびMreD欠失変異株を作製した。作製した欠失変異株を用いて、増殖能およびバイオフィルム形成能について検討した。増殖能については、MreC欠失変異株では親株と比較して差は認められなかったが、MreD欠失変異株では親株と比較して有意に低下していた。また、MreCおよびMreD欠失変異株のバイオフィルム形成能は親株と比較して、減少していた。以上の結果より、mreC遺伝子とmreD遺伝子およびgbpB遺伝子は一つのオペロンとして機能し、これらの遺伝子がバイオフィルム形成能に影響を与えている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた内容に沿って、研究を進めている。ノーザンブロッティングにより、mreC遺伝子、mreD遺伝子およびgbpB遺伝子が一つのオペロンとして機能していることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
作成したMreC、MreDおよびGbpB欠失株からRNAを抽出し、Reverse-transcription (RT)-PCR法を用いてcDNAを作成する。作成されたcDNAを用いて、各欠失株におけるmreC遺伝子、mreD遺伝子、およびgbpB遺伝子の発現の比較を行うことにより、gbpB遺伝子の発現にmreC遺伝子およびmreD遺伝子がどのように関与しているかを検討したいと考えている。
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