研究課題/領域番号 |
24593094
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上田 宏 広島大学, 大学病院, 講師 (20304446)
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キーワード | 睡眠時無呼吸症候群 / 口腔内装置 / 下顎可動域 / 歯列への負荷 / 気道拡大CT画像評価 |
研究概要 |
今年度の研究成果については、昨年度から引き続き、新しい口腔内装置によるOSAS治療を行っている患者に対して、装置装着時の仰臥位における側面頭部X線写真およびCT撮影により気道拡大評価法を確立した。この方法は、実際に睡眠中の体位を想定して、仰臥位にてCT撮影用枕を使用し、フランクフルト平面と床が垂直になるように頭部を固定している。スライス間隔1.0mm、スライス幅は軟組織部で1.0mm 、骨組織部で0.5mm撮影範囲は前頭洞から鎖骨まで撮影し、3DCT再構築画像を作成する。その画像を元に、後鼻棘、軟口蓋先端、喉頭蓋基底部を通る位置にて前後径、幅径、断面積を計測し、分析を行っており既に被験者は7名となっている。 また、25年度の研究実施計画に挙げられている、新しい口腔内装置の下顎位タイトレーションが下顎位可動域に及ぼす影響を明らかにしている。最大開口時と最大側方運動時について、下顎運動測定装置で計測した結果、最大随意前方位の2/3を付与した口腔内装置の場合、最大開口時は前後的に1.63+/-0.95mm, 側方では0.77+/-0.25mmの可動域であった。最大側方運動時は右側が11.9+/-1.99, 11.4+/-1.82mmであった。今後、他の下顎位においても計測を続けて行く予定である。 さらに、26年度の研究実施計画に挙げられている口腔内装置による歯列に対する副作用を調べる実験を先行して行なっている。患者が起床時に口腔内装置を外した直後から、経時的に咬合接触面積、最大咬合力、咬合重心を記録、分析する。現在、被験者が4名であり、今後さらに増やしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度の実施計画であった実験は、計測機器の使用方法が本来のものではないため、予備実験に時間がかかっており、本実験に至っていない。しかし、その代わりに26年度実施計画の実験を先行的に進めているため、全体の研究目的の達成度としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、25年度に行うはずであった下顎前方位タイトレーションによる歯列への負荷の変化について、早急に進める予定である。本実験は、新たに購入した咬合圧測定器(ジーシーバイトアイ BE-I、ジーシー)の本来の使用目的の変法を想定しているため、現在予備実験を続けているところである。また24年度のCTを用いた新しい口腔内装置による気道拡大評価について、引き続き被験者を増やしてデータ蓄積を継続していく予定である。新規に確立したCTデータと口腔内装置使用時の体位を想定した仰臥位における側面頭部X線写真とをリンクさせ、気道拡大評価に対するそれぞれの特徴を明確にすることを目標とする。本年度中に専門学会にて解析データを発表する予定である。同様に26年度の研究実施計画に基づき、OSAS患者の口腔内装置使用による歯列への影響を調べる実験を進める予定である。現在先行的に既に開始をしており、現在の被験者4名から10数名まで増やしていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究目的の進行はおおむね順調に進んでいるが、被験者の数を今後増やして信頼できる分析データを蓄積してから、学会発表や雑誌投稿を行うことになっていることが挙げられる。また、CT撮影実験は大掛かりなため、被験者に謝金を払う計画であったが、使用方法を熟知していないため、執行されていないことも理由の一つである。 今後、速やかに実施予定の実験を進めて、その消耗品および実験協力者への謝金および分析データが集積された後に、学会発表、誌上発表を行う必要がある。そのための使用を計画している。
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