糖尿病が矯正力による歯の移動と副作用の歯根吸収に及ぼす影響をラットを用いた実験で調べることを目的とした。27匹のSprague-Dawleyラット(オス)を3つのグループ(コントロール、糖尿病、糖尿病ラットにインスリンを投与したもの)に分け た。糖尿病はストレプトゾトシンを腹腔内に1回投与して誘導した。血糖値が250 mg/dl以上になったものを糖尿病とした。インスリンは毎日投与した。10gのNiTiクローズドコイルスプリングを2週間、上顎左側第一臼歯と切歯の間に装着した。マイクロCTを用いて歯の移動量を測定した。また、歯根を摘出して難組織を除去後に走査型電子顕微鏡と走査型レーザー顕微鏡を用いて、歯根吸収を測定した。歯の移動量は糖尿病群で有意に減少した。また、歯根吸収量も同様に減少した。一方、インスリンを投与した群は血糖値と同様に歯の移動量と歯根吸収量はコントロールレベルに近似した。
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