研究課題/領域番号 |
24593100
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤村 裕治 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70448504)
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研究分担者 |
吉松 昌子 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (20420630)
佛坂 斉祉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (90199513)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯科矯正学 |
研究実績の概要 |
歯科矯正治療の基盤は歯に矯正力を加えて動かすということであり、この基本は変わらない。歯科矯正治療の課題として審美性の向上や疼痛の軽減、清掃の簡易化などが挙げられるが、その治療期間の長さから治療期間の短縮も大きな課題の1 つである。近年、様々な材料の開発やメカニクスの研究により治療の効率化がなされ、治療期間の短縮が図られるようになってきたが、その効果はまだ十分とは言えない。 歯科矯正治療における歯の移動メカニズムは、圧迫側に誘導される破骨細胞の働きによる骨吸収と牽引側に誘導される骨芽細胞に働きによる骨添加によって歯の位置が変化することによる。つまり歯の移動には骨代謝が密接に関係している。一方、整形外科分野においては低出力超音波照射が骨折の治癒に促進的に働くとされ、臨床応用がなされている。これは骨代謝が促進されるとの報告によるものである。これを歯科矯正領域に応用した場合、骨代謝の促進によって歯科矯正治療における歯の移動が促進されるのではないかと考えられる。臨床応用へ至るためには、まず基礎的・学術的なエビデンスが必要であり、そのためにマウスの歯の移動モデルを利用することとした。 マウスの上顎切歯部歯槽骨と左側第一臼歯間にのクローズドコイルスプリングを装着し、第一臼歯を近心移動した。超音波付与群には超音波骨折治療器(某社)を用いて左側頬部より超音波振動(3.0MHz)を毎日15分付与する。14日後に歯科用シリコーン印象材を用いて上顎を印象採得し、第一臼歯と第二臼歯間距離を実体顕微鏡下で計測し歯の移動量とする。 対照群と照射群の歯の移動量において有意差を認めなかった。しかしながら、条件設定が難しく、十分な実験数を確保できていないため、引き続き検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マウス頬部への超音波プローブの固定は麻酔科で行うため,当初の実験系では毎日麻酔をかける必要がある。マウスへの負担が大きく,実験期間中に死亡する比率が高く,十分な実験個体数を確保できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
超音波照射頻度を減らし,マウスへの肉体的負担を減らし,十分な実験個体数を確保できるよう実験系の見直しを図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の実験遂行に遅れが生じているため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き実験遂行のため,消耗品の購入や発表,情報収集を目的とした学会出席のための旅費等が必要となる。
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