研究課題/領域番号 |
24593103
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
八木 孝和 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10346166)
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研究分担者 |
植田 紘貴 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10583445)
上村 裕希 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50464467)
乾 明夫 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80168418)
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
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キーワード | 咀嚼筋活動 / モルモット / 脳ー腸相関 / 神経ペプチド / CRF |
研究概要 |
前年度までの経験から、酸の胃食道部分への暴露に起因する咀嚼筋活動は、齧歯類とヒトで認められる生理学的挙動の可能性が示唆されている。しかし、ヒトに比べて齧歯類の反応が曖昧なことやヒトでは食道上部のPH変化をリアルタイムに捉えた手法を用いているが、齧歯類では自由行動下で調べることが困難なことから、受容体レベルで、他の遺伝子の発現状態や活性化を詳細に調べることが必要である。また、一方では、自発的な胃酸の分泌と異なり、酸刺激や生理食塩水の投与刺激に対する内臓へのストレス刺激が上記の活動に関与することも疑われるため、自律神経系の活動や脳波レベルでの生理学的変化についても調査する必要性がある。そこで、脳ー腸相関に関与するホルモンやストレスに関与するホルモンの影響に着目し、本年度は、脳内に神経ペプチドを投与し、電気生理学的手法を用いて解析することを目的とした。準備としてモルモット脳の投薬部位(ラムダ縫合から9.6mm、横2.5mm、深さ3.5mm)を予備実験より確定した。次に、脳内に直接ストレス因子のCorticotropin-release factor(CRF)およびアンタゴニストのNBI-27914, AntiSauvagine-30, alpha-helicalを投与してトレンド解析を行うことを計画した。また、16時間空腹状態でCRFをICV投与したところ、投与後約30分経過してから1時間程度、弱いながらも噛みしめ様の筋電図活動を咬筋で観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、脳内薬物投与による生理学的変化について観察を開始した。ただし、前年度の研究から発展した生化学的研究も必要であり、抗体の種類への制限が多いモルモットからより抗体の種類が多いラットへ動物種の変更も今後の成果を得るための検討課題である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究計画に引き続き、脳・消化管ペプチドの脳内投与による顎口腔機能への影響と摂食・飲水行動をモルモットを用いて記録・解析する。また、ラットを用いて、胃食道上部に酸投与を行った場合の、消化管粘膜での受容体への影響も免疫生化学的手法を用いて同時に調べる。以下に詳細を示す。 1)モデル動物の作製 :モルモットまたはラットを脳定位固定装置に固定し、脳地図に従い、視床下部の側脳室領域へカニューレを留置し、周囲をデンタルセメントで固定する。 2)視床下部の側脳室領域と腹腔内への薬物投与とデータ記録・解析:マイクロインジェクターを用いて、視床下部の側脳室領域域または腹腔内へ脳・消化管ペプチド等(Orexin、CRF等)とCRFレセプターアンタゴニストでCRFの影響を排除した場合や生理食塩水または人工脊髄液(コントロール)を投与し、筋電図や心電図等を記録する。 3)末梢からの影響を特定するために、ラットの食道上部にPH2~3の塩酸を暴露し、その後の咀嚼筋活動を記録し、食道・胃上部の組織を摘出し、受容体の遺伝子発現変化をReal time PCRを用いて調べる。次に、特定した遺伝子の発現を抑制した場合で塩酸を暴露した場合の咀嚼筋活動を記録し、その変化を記録する。 4)各種データ解析と評価・総括 :各ソフトウェアを用いて解析し、順次、その評価をまとめて投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
薬品購入を予定している。当該年度内で注文していたが、海外発注品のため納入が次年度へずれ込んだため。 CRFおよびそのアンタゴニスト2種類で、既に発注済みであるが、海外製品のため入荷待ちである。
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