研究課題
本研究では、脳・消化管ペプチドを利用して、顎口腔の異常機能活動(睡眠時ブラキシズム(SB)等)の発現機序を解明することを目的に前年度に確立できたモルモットにおける動物モデルを用いて、脳・消化管ペプチドの脳内投与による顎口腔機能への影響と摂食・飲水行動を記録・解析を行ってきた。前年度までの成果と併せて、末梢器官である食道下部への酸刺激は咬筋の活動に影響を与えることが示唆された。さらに、自律神経系レベルの解析を行い、心拍数の上昇を認め、交感神経の優位性が確認された。末梢器官の受容体レベルについて、ラットでは、酸受容体感受性に関連するSCIC3や痛覚受容体に関連して発現するTRPV1、PAR2、TACR1の有意な増加を認めた。また、末梢での侵害刺激に対して、中枢レベルではストレス性の影響を受けてると考えられるため、ストレス因子として脳内に直接ストレス関連ホルモンであるCorthicotorophin release factor(CRF)を投与したところ、人工脊髄液を投与した場合と比較して、投与後30分経過後に口腔の筋活動量が増加する傾向を求めた。さらに、CRFのアンタゴニスト(R1)であるNBI-27914を事前投与して、CRFを投与したところ、咬筋の筋活動量はCRF単独投与と比較して減少傾向を示し、咬筋活動の誘発に本受容器の関与が示唆されたことから、その他の受容器の影響も今後調べる必要がある。一方、睡眠レベルで脳の活動を評価したところ、CRF投与群は覚醒状態が持続し、睡眠の質の低下が観察され、アンタゴニストを投与しても顕著な睡眠の質の向上は認めなかった。これらは飼育環境因子や、投与された薬物の半減期なども関係しているため、今後、視床下部レベルでのストレス関連の受容器に対する遺伝子発現や投射経路の究明が必要と考えられた。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件)
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J Oral Rehabil
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