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2012 年度 実施状況報告書

咀嚼による胃の運動機能調整における自律神経機能と消化管ホルモンの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24593104
研究種目

基盤研究(C)

研究機関鹿児島大学

研究代表者

大牟禮 治人  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00404484)

研究分担者 宮脇 正一  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
永山 邦宏  鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60583458)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード歯科矯正学 / 咀嚼 / 消化管運動 / 消化管ホルモン / 自律神経
研究概要

咀嚼が食物の消化吸収に果たす役割については、食物粉砕が強調され、咀嚼による消化管機能の調整について検討されることはほとんど無かった。本研究は、咀嚼が消化管機能に及ぼす影響を、特に上部消化管の運動機能とその調整機構に着目して検討するものである。
平成24年度は、咀嚼が胃の活動や自律神経機能に与える影響の検討するため、健康で個性正常咬合を有する成人男性14名を対象として、咀嚼あり(MST群)・なし(CNT群)の2条件で、13C呼気試験による胃排出能評価と胃電図を用いた胃の運動機能評価、心拍変動解析による自律神経機能評価を行った。試験食には液状食を使用し、呼気試験の解析はTmax、T1/2、Tlagを求めた。また、Wagner-Nelson法を用いて13CO2呼気排出速度から試験食の胃排出速度の推定を行った。胃の運動機能評価にはピーク周波数とドミナントパワーを求めた。自律神経機能は心拍変動解析から交感神経と副交感神経活動を求めた。
その結果、13C呼気試験ではMST群でTmax、Tlag、T1/2が有意に遅延していた。また、Wagner-Nelson法を用いた推定によると、MST群では試験食摂取後0~20分における胃排出がCNTに比べ有意に低下していた。胃電図のピーク周波数は2群間で有意差は無かったが、ドミナントパワーはMST群では試験食摂取後0~10分で一過性の低下が認められた。自律神経機能解析においては、MST群では試験食摂取後0~20分における胃排出の低下に対応して、副交感神経活動の有意な抑制が認められた。
以上から、咀嚼によって胃の活動は一過性に抑制され、胃からの食物排出が一時的に抑制されることが示唆された。また、この変化には自律神経による胃の神経性調整が関与している可能性が考えられる。次年度以降は消化管ホルモンによる液性調整の影響等について検討を進めて行く予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、平成24年度は呼気試験や胃電図、心電図などの計測条件を確立するとともに、消化管ホルモンの定量的評価に必要な基礎データを確立する予定であった。実際の達成度としては、呼気試験や胃電図、心電図の計測条件は確立され安定したデータ採得も行えるようになり、咀嚼が胃の活動や自律神経機能に与える影響に関しては、前述のとおり新たな知見を得ることができた。内分泌機能に与える影響に関しては上部消化管機能に関連する消化管ホルモンが多種多様に及ぶため、より一層のデータ収集と解析が必要である。

今後の研究の推進方策

平成25年度は咀嚼による胃活健康で個性正常咬合を有する成人男性14名を対象として、咀嚼あり(MST群)・なし(CNT群)の2条件で、13C呼気試験による胃排出能評価と胃電図を用いた胃の運動機能評価、心拍変動解析による自律神経機能評価を行う。試験食や解析方法は平成24年度で用いた方法に準じて行う。また、歯根膜の体性感覚が咀嚼による胃の活動調整に与える影響を調べるため、歯根膜感覚の遮断を行いデータ測定を行う。遮断には浸潤麻酔と下顎孔伝達麻酔を組み合わせて行い、血管収縮薬が自律神経機能に影響を与えないよう局所麻酔薬にはスキャンドネストを用いる。対照には同様の手技で生理食塩水を注入した際のデータを使用する予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度計画では咀嚼が消化管ホルモンなどの内分泌機能に与える影響に関しては一部未達成の項目が残った。これらの項目については、次年度以降に本年度と同様な実験系でデータ収集を行うため、それらの実験中に追加のデータ採取を行っていく予定であり、それに伴う消化管ホルモンの測定費用等として使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Sleep bruxism and gastroesophageal reflux as a peripheral risk factor.2013

    • 著者名/発表者名
      Miyawaki S, Yagi T, Nagayama K, Ohmure H, Kanematsu K, Sakoguchi Y
    • 雑誌名

      Sleep Disorders

      巻: 1 ページ: 135-150

  • [雑誌論文] Mastication suppresses initial gastric emptying by modulating gastric activity.2012

    • 著者名/発表者名
      Ohmure H, Takada H, Nagayama K, Sakiyama T, Tsubouchi H, Miyawaki S.
    • 雑誌名

      Journal of Dental Research

      巻: 91 ページ: 293-298

    • DOI

      10.1177/0022034511433847

    • 査読あり
  • [学会発表] 睡眠時ブラキシズムに対するプロトンポンプ阻害剤の効果2013

    • 著者名/発表者名
      兼松恭子、大牟禮治人、永山邦宏、沼田政嗣、坪 内博仁、宮脇正一
    • 学会等名
      第8回九州矯正歯科学会学術大会
    • 発表場所
      九州歯科大学講堂(福岡県)
    • 年月日
      20130202-20130203
  • [学会発表] 睡眠時ブラキシズムに対するプロトンポンプ阻害剤の治療効果の検討:プラセボ対照二重盲検クロス オーバー比較試験2012

    • 著者名/発表者名
      大牟禮治人、兼松恭子、永山邦宏、沼田政嗣、坪 内博仁、富永和作、荒川哲男、宮脇正一
    • 学会等名
      第14回日本神経消化器病学会
    • 発表場所
      シェラトン都ホテル大阪(大阪府)
    • 年月日
      20121108-20121109
  • [学会発表] 食道内酸刺激が覚醒時における咀嚼筋活動や自律神経活動に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      大牟禮治人、迫口陽子、兼松恭子、高田寛子、永 山邦宏、宮脇正一
    • 学会等名
      第71回日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      盛岡市アイスアリーナ(岩手県)
    • 年月日
      20120926-20120930
  • [学会発表] ストレス負荷時と噛みしめ時の脳賦活性部位の比較:fMRIを用いた研究2012

    • 著者名/発表者名
      上原沢子、永山邦宏、大牟禮治人、宮脇正一
    • 学会等名
      第71回日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      盛岡市アイスアリーナ(岩手県)
    • 年月日
      20120926-20120930
  • [学会発表] ストレス負荷時と噛みしめ時の脳賦活部位の比較:fMRIを用いた検討2012

    • 著者名/発表者名
      永山邦宏、上原沢子、大牟禮治人、宮脇正一
    • 学会等名
      第48回日本顎口腔機能学会学術大会
    • 発表場所
      松本歯科大学図書会館(長野県)
    • 年月日
      20120421-20120422

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公開日: 2014-07-24  

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