研究課題/領域番号 |
24593108
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
田中 光郎 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10143596)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 口腔細菌叢 / ミュータンスレンサ球菌 |
研究概要 |
小児から採取したプラークからDNAを抽出し、PCR法により細菌DNAを増幅した。我々が開発した、ミュータンスレンサ球菌の特異的プライマーによりPCRを行い、採取した330名の小児をミュータンスレンサ球菌のいる群(122名、37%)といない群(208名、63%)に分け、さらに歯周病原性細菌であるP.gingivalis, T.forsythensis, T.denticolaについても同様にPCRによりプラーク中における存在の有無について検討を行った。その結果ミュータンス菌のいる小児の25%にPg菌が、37%にTf菌が存在することが明らかになった。もう一つのレッドコンプレックスであるTd菌は1名のみに検出された。しかしながらこれら歯周病原性細菌の存在ととミュータンス菌の存在との関連は認められず、今後はほかの細菌群の調査も行いながら、母親のプラークについても小児と同様の検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児からのプラーク試料が330名から収取でき、ミュータンスレンサ球菌有無による分類、歯周病菌の有無の検索も進んでおり、おおむね順調に進展していると考えられる。具体的には、採取した330名の小児をミュータンスレンサ球菌のいる群(122名、37%)といない群(208名、63%)に分け、歯周病原性細菌であるP.gingivalis, T.forsythensis, T.denticolaについて、同様にPCRによりプラーク中における存在の有無について検討を行えた。その結果として、ミュータンス菌のいる小児の25%にPg菌が、37%にTf菌が存在することが明らかになったことなど、新たな知見が得られたと評価できると考えられるため。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、収集したプラーク試料から得られた細菌DNAを蓄積して、まずプライマーを保有している歯周病原性細菌についてその感染の有無を調査中であるが、今後は歯周病原性細菌のみならずほかの細菌についても検討を進める予定である。さらに母親のプラークについても検索を加え、母親と小児の両面からさらなる研究を継続する。キャピラリー電気泳動法による、細菌叢全体の分析についてもさらに進めていく予定にしている。現在岩手医大が所有している次世代シーケンサによる網羅的な検索の可能性も模索しており、より多くの菌種との関連性を追求したいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今後も小児からプラークの採取を継続し、より試料数を増やすことでデータの信頼性を高めたいと考えており、プラークからの細菌DNAの抽出やPCRによる増幅のための試薬購入に研究費を当てさせていただきたい。キャピラリー電気泳動についても新たに試薬類の購入に支出させていただきたいと考えている。もしも次世代シーケンサによる網羅的な細菌の検索が可能となった場合には、その試薬類についても支出させていただきたい。また、平成25年6月12日からソウルで開催される国際小児歯科学会での情報収集にも研究費の一部を使用させていただきたい。
|