研究課題/領域番号 |
24593108
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
田中 光郎 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10143596)
|
キーワード | ミュータンスレンサ球菌 / レッドコンプレックス |
研究概要 |
歯垢中に齲蝕原性細菌であるストレプトコッカスミュータンスが検出される小児と、検出されない小児との間に、歯周病原性細菌として重視されている3種類の細菌、P.gingivalis、T.denticola、T.forsythensis の有無に差があるのかを検討した。さらに、小児の若年性歯周炎との関連が指摘されてきた、A.actinomycetemcomitansについてもその相関性を検討した。一方その母親についても同様の検討を行った。 小児の平均年齢は4.6±0.1歳であり、母親の平均年齢は35.4±0.4歳であった。それぞれのdmf/DMF歯率は11.9±1.1%、45.8±1.5%であり、平成23年度歯科疾患実態調査の結果を基に計算した値とほぼ同じレベルであり、齲蝕に関しては平均的な集団と考えてよい。また、歯周病についても母子ともに著明な症状のない被験者であった。 ストレプトコッカスミュータンスがプラーク内に存在している小児は327名中121名で37%とやや比率が低かった。ストレプトコッカスミュータンスが口腔内に存在する121名と存在しない206名で、P.gingivalis、T.denticola、T.forsythensis、A.actinomycetemcomitansの検出された割合(%)はそれぞれ、16:12、0:0、26:30、77:77という結果であり、歯周病原性細菌4種の有無には全く相関がみられなかった。母親についてもその割合(%)はそれぞれ22:25、55:49、4:2、79:84という結果であり、小児、母親ともに、ストレプトコッカスミュータンスと歯周病原性細菌とは独立して存在しているものと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
327名の小児とその母親239名についてプラークの採取を行いその相関性について調査を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
対象とする細菌種を増やして、ミュータンスレンサ球菌と口腔内に共存しているほかの菌種について、更なる関連性の追究を行う。またRFLPによる群集解析についても検討を進めて、歯周病原性細菌以外の口腔内の優勢細菌についての関連性を検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
歯周病原性細菌との関連性を個別に検討しているが、細菌DNAの抽出、PCR増幅に必要な試薬類のストックがまだ残っており、追加発注の必要がなかった RFLPによる群集解析を行う予定である。そのための試薬購入に補助金を充てたいと考えている。
|