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2013 年度 実施状況報告書

歯髄細胞を用いた石灰化メカニズムの分子生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 24593112
研究機関松本歯科大学

研究代表者

中村 美どり  松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (90278177)

研究分担者 中村 浩志  松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00278178)
中道 裕子  松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20350829)
宇田川 信之  松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
キーワード歯髄細胞 / 骨芽細胞 / アルカリホスファターゼ / 石灰化 / 骨髄由来間質細胞 / 硬組織 / ヒト / マウス
研究概要

我々は、マウス歯髄細胞は著しく高い細胞外基質石灰化能を有し、in vivoにおいても高い硬組織形成能を有することを見出していた。本研究では、ヒト歯髄細胞(hPC)を用いた再生医療の確立を目的とし、hPCの有する特異形質と生体移植による硬組織形成能について解析を行った。さらに、hPCとヒト骨髄間質細胞(hMSC)をそれぞれ免疫不全マウス(RAG-1欠損マウス)に移植し、両者のin vivoにおける硬組織形成能を解析した。
1.hPCとhMSCの細胞外基質石灰化能を比較するために、hPCとhMSCを、石灰化促進物質として知られるアスコルビン酸およびβ-グリセロリン酸の存在下または非存在下にて培養した。hPCは、hMSCに比べ、どの培養条件下においても高いアルカリホスファターゼ活性を示した。また、hPCはhMSCより著しい細胞外基質の石灰化を示した。
2.hPCおよびhMSCのin vivoにおける硬組織形成能と破骨細胞誘導能を検討するため、免疫不全マウスに、hPCまたはhMSCを含むコラーゲンスポンジを背側筋膜下に移植した。その結果、hPCの移植片のみ硬組織様の構造物が形成された。
3.硬組織様構造物の細胞が、ドナーであるhPCかレシピエントに由来する細胞か調べるため、移植片を、ヒト由来抗原特異的に認識する抗ヒトVimentin抗体を用いた免疫蛍光染色に供した。硬組織様構造物は、ヒトVimentin陽性細胞で構成されていた。従って誘導された硬組織様構造物は、hPCにより形成されたことが示された。
4.マイクロアレイ解析にてhPCとhMSC間で発現量に差のある遺伝子の探索を行った。hPCは石灰化促進因子であるBMP-2とALPの発現が高く、一方石灰化抑制因子であるENPP1およびMGPの発現は低いことから硬組織形成に非常に有利な形質を有していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々は、マウス歯髄細胞は著しく高い細胞外基質石灰化能を有し、in vivoにおいても高い硬組織形成能を有することを見出していた。本研究では、ヒト歯髄細胞(hPC)を用いた再生医療の確立を目的とし、hPCの有する特異形質と生体移植による硬組織形成能について解析を行った。その結果、hPCは硬組織形成に有利な形質を有しており、本実験結果により、硬組織再生に有用な材料となりえることが示された。

今後の研究の推進方策

1.歯髄細胞が生体内において破骨細胞を誘導出来るか調べるため、RAG・RANKL二重欠損マウスを作製し、このマウスに歯髄細胞を移植する。
2.マイクロアレイ解析において特に発現量の差が顕著であった因子について、データの再現性をRT-PCR法を用いて確認する。
3.マイクロアレイ解析において発現量の差の大きかった転写調節因子について、機能解析を行う。

次年度の研究費の使用計画

試薬類のキャンペーン価格の利用などにより、平成25年度の研究遂行において、直接経費次年度使用額(232,941円)が生じたが、最終年度の研究において、歯髄細胞の硬組織再生における有用性を明らかにする実験に使用する。
平成26年度の研究費と合わせて、歯髄細胞が生体内において破骨細胞を誘導出来るか調べるため、RAG・RANKL二重欠損マウスを作製し、このマウスに歯髄細胞を移植する研究に使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Roles of cathelicidin-related antimicrobial peptide in murine osteoclastogenesis.2013

    • 著者名/発表者名
      Horibe K, Nakamichi Y, Nakamura M, Koide M, Kobayashi Y, Takahashi N, Udagawa N
    • 雑誌名

      Immunology

      巻: 140 ページ: 344-351

    • DOI

      doi: 10.1111/imm.12146.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stimulation of bone formation in cortical bone of mice treated with a receptor activator of nuclear factor-kB ligand (RANKL)-binding peptide that possesses osteoclastogenesis inhibitory activity.2013

    • 著者名/発表者名
      Furuya Y, Inagaki A, Khan M, Mori K, Penninger JM, Nakamura M, Udagawa N, Aoki K, Ohya K, Uchida K, Yasuda H
    • 雑誌名

      J Biol Chem

      巻: 288 ページ: 5562-5571

    • DOI

      doi: 10.1074/jbc.M112.426080.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Osteoprotegerin-deficient male mice as a model for severe alveolar bone loss: comparison with RANKL-overexpressing transgenic male mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Koide M, Kobayashi Ym Ninomiya T, Nakamura M, Yasuda H, Arai Y, Okahashi N, Yoshinari N, Takahashi N, Udagawa N
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 154 ページ: 773-782

    • DOI

      doi: 10.1210/en.2012-1928.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Minocycline to be used a potential anti-bone resorption agents due to the suppression of osteoclastic bone resorption.2013

    • 著者名/発表者名
      Udagawa N, Koide M, Nakamura M, Takahashi N
    • 雑誌名

      J Oral Biosciences

      巻: 55 ページ: 16-22

    • 査読あり
  • [学会発表] 歯槽骨吸収の抑制を目的とした基礎的最先端研究「歯槽骨吸収を呈するOPG遺伝子欠損マウス」

    • 著者名/発表者名
      中村美どり
    • 学会等名
      第11回日本歯科骨粗鬆症研究会シンポジウム
    • 発表場所
      東京(東京医科歯科大学)
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨形成ペプチドW9の破骨細胞形成抑制とカップルした骨芽細胞分化促進作用

    • 著者名/発表者名
      中村美どり
    • 学会等名
      第31回日本骨代謝学会
    • 発表場所
      神戸(神戸国際会議場)
  • [学会発表] BMP誘導性異所性骨における破骨細胞の役割

    • 著者名/発表者名
      中村美どり
    • 学会等名
      第51回日本小児歯科学会大会
    • 発表場所
      岐阜(長良川国際会議場)

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公開日: 2015-05-28  

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