研究課題/領域番号 |
24593113
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
飯沼 光生 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70184364)
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研究分担者 |
久保 金弥 星城大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00329492)
田村 康夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40113047)
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キーワード | 養育環境 / 歯の喪失 / 老化促進モデルマウス / 海馬機能 / 水迷路テスト / 海馬新生細胞 |
研究概要 |
前年度の研究で、老化促進モデルマウス(SAMP8)を用いて、妊娠期に咬合挙上ストレスを加えることで、その母獣から生まれた仔獣に成熟期以降、海馬機能が抑制されることを明らかにした。 しかし、探索行動テスト(ホールボードテスト)と海馬錐体神経細胞数の測定が前年度から残っていたため、今年度は、まずこの検討を行った。その結果、穴をのぞく回数はコントロール群に比べ成熟期、老齢期群ではストレス群では有意に少なく、情動反応が低下することが明らかになり、また神経細胞数も少なかったことから海馬機能も低下していることが明らかになった。 次に海馬機能の抑制をリカバーする方法として、生後の養育環境を改善することで効果が表れないかを検討した。まず、リカバーできるかを検討するため、効果が表れやすい、生後8か月齢のSAMP8雄マウスを用いた。標準的な飼育を行った群(SE)、飼育環境を強化した群(EE)と、非抜歯群(cont)、抜歯群(Ext)を組み合わせ、4群に分類して空間認知能を調べるためMorris 水迷路テストと海馬新生細胞数を調べるため抗BrdU抗体を用いてABC法により免疫染色を行った。その結果、水迷路テストでは、抜歯群ではEE群がSE群と比較してプラットホームへの到達時間が有意に短縮した。また、海馬歯状回でのBrdU陽性細胞数は、SE群で抜歯群のほうが非抜歯群と比較して有意に減少し、抜歯群ではEE群がSE群と比較して増加していた。これらのことから、歯の喪失によって引き起こされた細胞新生障害や空間認知能障害は歯の喪失後の環境強化によって改善されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
養育環境を良好にすることで歯の喪失のストレスによる海馬機能の障害が改善されることを明らかにできた。しかし、まだ母獣の咬合障害による仔獣の障害を改善できるかについては明らかになっていない。 今年度の結果は2014年5月の第51回日本小児歯科学会(東京)および、8月の第9回アジア小児歯科学会(シンガポール)で発表の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
SAMP8を用いて、妊娠期に咬合挙上ストレスを加えることで、その母獣から生まれた仔獣に成熟期以降、海馬機能が抑制されることを論文にし投稿したが、査読者からP8をコントロールマウスのR1と比較する必要があるとの指摘を受けたためR1でも行う予定である。 さらに母獣の咬合障害による仔獣の障害を改善できるかについても明らかにする予定である。
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