今年度は咬合挙上のみならず歯を抜いて喪失することで同様のことが生じるかについても調べた。その結果、歯の喪失によっても飼育環境を強化することで海馬の新生細胞数も回復し、空間認知能もコントロールと同程度まで改善され、咬合障害が飼育環境の強化で改善されることが明らかになった。 これらの結果を第52回日本小児歯科学会大会において、「飼育環境が歯の喪失により惹起された空間認知障害に与える影響」のタイトルでポスター発表を行った。また、関連テーマとして「母体ストレス負荷中の咀嚼運動は仔のうつ様行動を改善する」、「歯の早期喪失が加齢による骨の脆弱に及ぼす影響」のタイトルでもポスター発表を行った。 また、「Hippocampus dependent spatial memory impaiment due to molar tooth loss is ameliorated by a enriched environment」 のタイトルでArchives of Oral Biologyに、「Chewing maintains hippocampus-dependent cognitive function」のタイトルで International Journal of Oral Biologyに投稿した。概要は、歯を挙上や喪失することにより、海馬機能障害が生じるが、飼育環境を強化することで海馬の細胞新生障害を改善し、神経細胞供給を増加させるというもので、この課題についてまとめたものである。
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