研究課題/領域番号 |
24593121
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
杉田 典子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30313547)
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キーワード | 肥満 / 骨密度 / 歯学 / 歯周炎 / ゲノム |
研究概要 |
核内レセプターPPARガンマは、炎症・肥満・骨粗鬆症との関連が知られている。閉経後女性においてはエストロゲンの減少に伴いこれらの疾患リスクが増大する。本研究ではPPARガンマの機能を減弱させるPro12Ala遺伝型がこれらの疾患の共通リスクであるか調べ、歯周炎・肥満・骨粗鬆症の診断と治療に役立てることを目的とした。新潟市横越地区の閉経後日本人女性から同意を得てゲノムDNAを抽出し遺伝型をタイピングした。また歯周検査を行い肥満、骨密度、関連する血液中のマーカーを測定した。その結果、PPARガンマPro12Ala遺伝型は独立では歯周炎や骨粗鬆症と関連を示さなかったがAlaアレル保有者のみにおいて歯周炎と骨密度、骨密度とビタミンD、および歯周炎とビタミンDに関連性が認められた。このことから、PPARガンマPro12Ala遺伝型は、歯周炎と骨粗鬆症の間の関連性に影響を与える可能性が示唆された。この成果は国際学術誌Oral Diseasesに掲載された。続いて、PPARガンマ遺伝型と肥満および歯周炎の関連性について解析した結果、遺伝型と肥満との間に直接的な有意な関連性は認められなかった。しかしAlaアレル保有者のみにおいて歯周炎と高感度CRPとの間に有意な正の相関が認められ、またAlaアレル非保有者においてのみ歯周炎と肥満との正の相関が認められた。この結果より、PPARガンマPro12Ala遺伝型は歯周炎と高感度CRP、また歯周炎と肥満との関連性に影響を及ぼすことが示唆された。この成果は国際学術誌Gerodontologyに掲載された。ついでこれらの成果を発展させベータ3アドレナリン受容体遺伝型と肥満および歯周炎の関係を同じ対象者で調べた結果、肥満女性において歯周炎とベータ3アドレナリン受容体遺伝型の関連性が認められた。この成果はJ Clin Periodontolに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画に従って閉経後女性におけるPPARガンマ遺伝型と骨密度、肥満、歯周炎との関連性を解析し結果を論文にまとめ掲載されたのみでなく、その成果をさらに発展させて、PPARガンマとともに糖代謝や脂質代謝を調節しているベータ3アドレナリン受容体の遺伝型と本研究対象の閉経後女性の歯周炎、肥満との関連性を解析し、その結果を既に論文にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
PPARガンマPro12Ala遺伝子導入したマクロファージについて、歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisの菌体成分および産物で刺激した際のサイトカイン産生レベルを調べPPARガンマProおよびAla isoformの機能比較を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
英文校正経費として予定していた分を使用することなく論文投稿・掲載されたため。 PPARガンマ機能解析における標識抗体購入に使用する予定である。
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