研究課題
26年度MSCの実験:アスコルビン酸 (50 microgram/ml) 添加培地で7日間培養したラット骨髄間葉系幹細胞(MSC)は豊富なECMを産生し、シート状になっていた。シート状のECMを含むMSCを折りたたむことによって、小型球状にしたMSC集塊(B-MSC)を作製、引き続き、増殖培地のみ(GM)あるいは骨分化誘導培地(OIM)で5日間、B-MSCを培養した。骨分化誘導されたB-MSCによる大規模骨欠損骨再生を評価するために、ラット頭蓋骨に作製した直径3 ㎜の骨欠損に合うよう複数個のB-MSCを移植し、欠損部の骨再生を組織学的に評価した。OIM群の骨再生量はGM群と比べて多かった。GM群では、既存骨からのみ骨の再生が認められたが、OIM群では、既存骨からの骨再生に加えて、骨欠損内部からも骨が再生していた。OIM群の欠損内部の再生骨は層板状で、内部に細胞が封入されていた。さらに、この再生に早期の血管新生が関わることを示した。B-MSCに関する研究成果をまとめ、投稿したcytotherapyという雑誌論文に受理された。研究期間全体の研究成果:人工的に作製された担体を含まず、MSCが産生した細胞外基質を含み、さらに、ex vivoで加工できるB-MSC移植体を開発した。ex vivoで骨分化誘導したB-MSCは、骨再生を目的とした治療に有用であることを示した。LL37(合成ペプチド)によって誘導されるVEGF-Aの発現促進にERK1/2とNF-kappa Bが関わることを確定させた。また、LL37によるラット頭蓋骨骨欠損の再生促進には、LL37による多くのSTRO-1(MSCの陽性マーカー)陽性の細胞および血管内皮細胞のマーカーであるCD34細胞の集積が関わることを明らかにした。このように、LL37とB-MSCは歯周組織(骨)再生治療剤(材)になりうる可能性を示した。
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Cytotherapy
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10.1016/j.jcyt.2015.01.007.