歯周ポケット内の低酸素環境が歯周病病態に与える影響を検討するため,低酸素作用の主因子であるHypoxia-inducible factor(HIF)が関連する炎症や免疫反応等への影響を調べた。その結果,口腔上皮細胞や線維芽細胞で低酸素によりHIFが増加し,炎症性サイトカインや血管新生因子の発現が増加する一方,カルプロテクチン(CPT)等の抗菌ペプチドの発現が減少した。HIF阻害剤であるchetominは,低酸素によるTNF-aやVEGFの増加を抑制し,CPTの抑制を減少させた。この結果から,歯周ポケットの低酸素環境は,歯周組織に炎症を惹起し,HIFの抑制は改善を引き起こすことが示唆された。
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