研究課題/領域番号 |
24593127
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
原 宜興 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (60159100)
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研究分担者 |
金子 高士 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (10284697)
鵜飼 孝 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (20295091)
吉永 泰周 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (60452869)
吉村 篤利 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (70253680)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インプラント周囲炎 / 病理組織学的研究 / 免疫複合体 |
研究実績の概要 |
ラットの右上顎第一臼歯を抜歯後、抜歯窩に小サイズのインプラント体を植立した。同時に市販されているE. coli LPSとFreundのcomplete adjuvantの混合物で一次免疫を行った。そしてインプラント植立および感作4週後にLPSとFreundのincomplete adjuvant混合物で二次免疫を行い、その3日後に麻酔下で、E. coli LPSを30分間、1日1回ラットの上顎右第一臼歯相当の口蓋側インプラント周囲溝と上顎左第一臼歯口蓋側歯肉溝に塗布した。これを24時間毎に3日間連続して行った。またLPSの代わりにPBSをそれぞれ滴下したものを対照とした。最終塗布1時間後にラットを屠殺して塗布部位を採取し、固定・脱灰後、右第一臼歯部はインプラント体を除去して、上顎左第一臼歯部とともにABC法に準じてパラフィン切片を作製した。そしてHE染色、Azan染色、破骨細胞の確認のためのTRAP染色、免疫複合体の確認のためのC1qBに対する免疫組織染色を行い、両者のアタッチメントロスの幅、歯槽骨吸収の程度、免疫複合体の広がりを比較検討した。 その結果、天然歯である左第一臼歯部には若干の炎症性細胞浸潤は見られたものの、アタッチメントロスや歯槽骨頂部における破骨細胞生の骨吸収は全く観察されなかった。一方インプラント周囲組織においては、アタッチメントロスや大きなオッセオインテグレーションの喪失を認め、免疫複合体の拡散はより広い範囲で観察された。この現象は、LPSの代わりにPBSをインプラント周囲溝に滴下した対照では観察されなかったことから、感作によって免疫複合体が形成・拡散されたことにより、インプラント周囲組織の破壊が亢進したと考えられた。これより、インプラント周囲炎は天然歯における歯周炎発症よりも早い時期に起こることを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験開始時に、インプラント体の植立法を確定するまでの期間がやや想定以上に必要であった。この点については、すでに実験手技を確立することができている。 また最終年度に、感作を行わなずに同様の実験を行う対照群を作製する予定であったが、再実験が必要となり当初の終了予定を延長せざるを得なくなった。しかしすでに再実験そのものは終了しており、この点に関しても今現在問題は解決できている。
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今後の研究の推進方策 |
現在は最終年に予定していた対照群の標本作製は終え、種々の染色およびデータの収集と解析を行っているところである。 すでに一部の結果については、本年(2015年)4月にペルーのSan Martin de Porres大学で行われた講演会にて発表した。今後英語論文として投稿すべく準備を進めるとともに、本年10月にインドネシアで行われるAsian-Pacific Society of PeriodontologyのGeneral Meetingにて発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に、感作を行わなずに同様の実験を行う対照群を作製する予定であったが、再実験が必要となり当初の終了予定を延長せざるを得なくなった。しかしすでに再実験そのものは終了しており、この点に関しても今現在問題は解決できている。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年に予定していた、種々の染色およびデータの収集と解析のために使用する。 また、本年(2015年)4月にペルーのSan Martin de Porres大学で行われた講演会への旅費および、本年10月にインドネシアで行われるAsian-Pacific Society of PeriodontologyのGeneral Meetingへの旅費に充てる予定である。
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