研究課題/領域番号 |
24593129
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
中島 啓介 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80227785)
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研究分担者 |
大島 光宏 奥羽大学, 薬学部, 教授 (30194145)
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キーワード | 歯周炎 / 歯肉溝滲出液 / サイトカイン |
研究概要 |
一人の術者が複数の歯周炎患者に対し同一の歯周基本治療を行っても,プロービング深さの減少量は患者毎に異なる。また,同一口腔内においても部位により減少量は異なる。治療に対するこのような反応性(プロービング深さ減少量)の違いは,単に細菌性プラークや咬合ストレスといった原因がどの程度,除去されたかだけではなく,個々の患者が持つ創傷治癒能力の違いにも起因すると考えられる。本研究課題では,基本治療前後に患者から採取した歯肉溝滲出液について多種のサイトカイン量を同時に定量することでGCFプロファイリングを作成し,治療に対する反応性と密接に関連するGCFプロファイルが存在するのか明らかにする予定である。平成25年度は,研究計画書の条件に該当する歯周病患者に対して研究計画を説明し,12名の患者からサンプル採取に関する同意を得た。まず,実験の再現性を担保するため,炎症がある歯肉から採取した単一のGCFサンプルを複数回,測定する予備実験を行った。GCFサンプルとメンブレンのインキュベーション,蛍光測定装置によるメンブレンからのイメージ採得,採得されたイメージの画像解析および半定量等について検討し手技の安定について検討した。その結果,同GCFサンプル中にはIL-2,IGF-l,MDC,MIG,IL-10,VEGF,IL-βの存在が確認され,複数回の測定を行っても高い再現性が得られた。現在,12名の患者からGCFサンプルを採取中であり,採取したサンプルは測定まで一時,冷凍保存している。採取したGCFサンプルについては,患者毎に治療が終わり次第,測定を行っている。また,GCFサンプル数を増加させるために,歯周病科の歯科医師に更なる協力を要請している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画書における歯周炎患者の選択条件は,①5年以内に歯周治療を受けていない,②口腔内にプロービング深さが異なる部位が複数,存在している,③義歯の装着が必要となる多数歯欠損が存在していない,④重篤な全身疾患(重度の糖尿病等)に罹患していない,というものであった。しかし,特に③と④の条件が厳しく,なかなか該当する歯周病患者が見つからないため採取サンプル数が伸び悩んでいる。条件を変更することも考えたが,本研究課題で得られるであろう結果の解釈が曖昧なものとなるため変更は行ってない。
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今後の研究の推進方策 |
概要でも書いたが,GCFサンプル数を増加させるためには歯周病科の歯科医師に更なる協力を要請するしかないと考えている。また,多忙な歯科治療の合間にサンプル採取を行うため,担当歯科医師によるサンプルの採取忘れも生じている。これまでは,採取されたGCFサンプルについて採取日順に管理をしていたが,患者毎のサンプル採取状況を一覧できる表を作成することで採取忘れを防止する予定である。 また,平成26年度研究課題終了後に研究を進展させるために,メンブレンを使用せず瞬時に測定できる測定チップへの応用について模索中である。
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