研究課題/領域番号 |
24593130
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
加藤 幸紀 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50281283)
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研究分担者 |
森 真理 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (30275490)
長澤 敏行 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (90262203)
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キーワード | メタゲノム解析 / 歯周病 / 妊娠 / 歯周病原細菌 / 性周期 |
研究概要 |
Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa) JP2株は、Aa株の中でも白血球溶解作用のあるleukotoxinを多量に産生し、病原性が高いことが知られている。しかし、これまで日本では検出されていなかった。我々は北海道在住の歯周炎患者、軽度歯肉炎・健常者に対して細菌検査を行い、被験者より分離されたAa臨床分離株の特徴について検討した。 北海道医療大学歯科クリニックに来院した歯周炎患者33人、軽度歯肉炎・健常者14人を対象とし、臨床症状の測定と細菌検査を行ったところ、歯周炎患者16人、軽度歯肉炎・健常者10人からAaを培養し、Aae(オートトランスポーター)のタイプをPCR法で解析した。この結果、PCRによってAa陽性であった歯周炎患者9人の臨床症状は陰性の患者よりも重度であった。健常者からPCRでAaは検出されなかったが、培養によってすべての健常者からAaが分離された。得られた102株全てJP2と同様のleukotoxinプロモーター領域の欠失を認めた。臨床分離株のAae 遺伝子型は患者/健常者でそれぞれtype 1: 19.2%/11.5%、type 2: 23.1%/0%、type 3: 42.3%/30.7%、type 4: 11.5%/0%であった。以上の結果よりJP2様leukotoxinプロモーターを有するAaが北海道に存在し、健常者と患者で異なるAaeのタイプの株が分布していることが示唆された 現在、女性の性周期と口腔内細菌叢の変化との関連性を検討するため、妊娠女性と妊娠していない女性を被験者として唾液・歯肉溝浸出液・プラークを検体とした口腔細菌のメタゲノム解析と性ホルモン(プロゲステロン)変化を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者選択に時間を要しているため、解析にやや遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 妊婦と妊娠していない女性とを被験者として、歯周ポケット・歯肉溝浸出液・唾液中の微生物および生体成分を解析し、臨床病態と病型およびホルモンバランスとを対比させて女性の歯周病原性細菌との関連性を解析する。 (研究費の使用計画) 1.解析方法としては、被験者唾液中の16S rRNAに関してプライマーを作成・増幅し、メタゲノム解析を実施する。シークエンスデータをもとに系統樹を作成し、標的細菌を検討する。また、女性ホルモンの変化の観察(ELISA法)を行い、これらの結果から性周期と関連する口腔細菌を特定する。 2.研究費はメタゲノム解析費用とサンプル調整試薬やELISAキットの購入と関連学会への参加費用および論文発表関連費用として使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
被験者サンプル数が少なかったため、メタゲノム解析の実施が遅れている。このためンメタゲノム解析費の使用が次年度使用額のほとんどを占めている。 メタゲノム解析用試料調整試薬(PCR用プライマー、試薬)とメタゲノム解析費用として使用する。
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