研究課題/領域番号 |
24593133
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
江尻 貞一 朝日大学, 歯学部, 教授 (40160361)
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研究分担者 |
渡邉 竜太 朝日大学, 歯学部, 助教 (00586927)
佐藤 和彦 朝日大学, 歯学部, 講師 (20340078)
田中 みか子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (20361909)
小萱 康徳 朝日大学, 歯学部, 准教授 (30076046)
澁谷 俊昭 朝日大学, 歯学部, 教授 (40206149)
池亀 美華 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70282986)
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キーワード | 骨粗鬆症 / 卵巣摘出サル / 歯周炎モデル / カテプシンK阻害剤 |
研究概要 |
第2大臼歯について、歯科臨床で一般的に行われている歯周組織検査を行った結果、第2大臼歯のポケット深度については、Sham群とOVX群での有意差は認められず、それぞれ群において、糸を巻いた歯周病誘発群において有意にポケットが深化していた。一方、X線写真で測定した第2大臼歯遠心歯間部の骨吸収度(CEJから骨頂までの距離)では、OVX群の値がSham群よりも有意に高かった。Sham群、OVX群ともに歯周病を誘発することで、歯間部の歯槽骨高さが減少した。また歯頸部に絹糸を結紮した歯周病誘発群においては、歯石の付着が認められた。 歯槽骨内部の骨梁構造を観察した結果、Sham群においては、歯周病誘発するとしないに関わらず、Sham群よりもOVX群において根分岐部における骨量の減少が認められ、骨梁の連結性の喪失が認められた。また、OVX群では、根分岐部の病変が重篤化している個体も認められた。 本研究では、絹糸を結紮して歯周病を誘発することで、有意な歯周ポケットの深化と、有意な歯槽骨の高さ減少が認められた。このことから、歯頸への絹糸の結紮は、歯周病を誘発するモデルとして有効であることが改めて示された。 また、卵巣摘出、すなわちエストロゲン欠乏の影響は、歯周病の影響に比べて顕著ではなかったものの、X線写真による骨吸収度計測においては、OVX群の歯槽骨がSham群よりも有意に吸収していることが明らかとなった。また、OVX群の絹糸結紮側では、根分岐部における歯槽骨の吸収が著明であり、ヒトで高頻度に認められる歯周病による根分岐部病変と同様の骨吸収動態を呈する個体が認められた。これにより、局所の歯周病による炎症とエストロゲン欠乏という全身のホルモン動態の変化が、歯槽骨の骨吸収活性を相加的に亢進させた可能性が考えられ、特に根分岐部については、注意深く検索する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロCT用3次元有限要素法解析システムの導入に期日がかかった事により、解析開始時期が当初の予定より遅くなった経緯で、研究結果の解析進行がやや遅れていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)マイクロCT用3次元有限要素法解析システムを用いた解析を完了させる。 (2))Villanueva bone stain 染色未脱灰試料を共焦点レーザー走査型顕微鏡にて可視化し、硬組織画像解析装置で骨形成・骨吸収および骨代謝回転パラメータを測定する。 (3) 歯根膜側および骨髄側の骨芽系細胞と破骨細胞系細胞の細胞間接着やOPG の局在とRANKL の免疫局在変化を免疫組織学的に検索するとともに、歯周組織中の免疫系細胞との関連性をサイトカイン産生の変化について免疫組織化学的に検索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マイクロCT用3次元有限要素法解析システムの導入に期日がかかった事により、解析開始時期が当初の予定より遅くなり、研究の遂行が計画よりやや遅れている。 マイクロCT用3次元有限要素法解析システムを用いた解析を早急に完了させ。Villanueva bone stain 染色未脱灰試料を共焦点レーザー走査型顕微鏡にて可視化し、硬組織画像解析装置で骨形成・骨吸収および骨代謝回転パラメータを測定する。歯根膜側および骨髄側の骨芽系細胞と破骨細胞系細胞の細胞間接着やOPG の局在とRANKL の免疫局在変化を免疫組織学的に検索するとともに、歯周組織中の免疫系細胞との関連性をサイトカイン産生の変化について免疫組織化学的に検索する。 上記の検索結果を纏め、学会発表するとともに論文投稿する予定である。
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